半導体用語集
光ファイバ
英語表記:optical fiber
近赤外光または可視光を伝送するための光導波路。中央部分の屈折率が高いコアと周りのクラッドからなり、光はコアに閉じ込められるように伝搬する。構造や用いられている材料により多くの種類がある。用途は、光信号伝送だけでなく、エネルギーや画像の伝送、光センサなど多岐にわたる。特徴として、低損失性、広帯域性、軽量性、可撓性、耐環境性など優れた性質を持つ。
用いられる材料は石英、多成分ガラス、プラスチックなどである。溶融石英を用いた石英系光ファイバでは MCVD法やVAD法などの不純物を取り除く製造技術が確立しており、非常に低い伝送損失が実現されている。その典型的な値は、波長1.5µm帯で0.2dB/km、1.3m帯で0.5dB/kmであり、これらの波長帯は光ファイバ通信ではよく用いられる。
コア、クラッドの屈折率分布により伝搬するモードの数や電界分布が決まる。代表的な光ファイバの屈折率分布には、屈折率が界面で階段状に変化するステップインデックス型や、コアの中心部からクラッドヘ向けて滑らかに屈折率が変化するグレーデッドインデックス型などがある。これらのファイバは、さらに伝搬モードの数により、単一モード光ファイバ(シングルモードファイバ)と多モード光ファイバ(マルチモードファイバ)に分類される。多モード光ファイバは、数10µmのコア直径を持ち、複数のモードが同時に伝搬可能である。通常、モード間の伝搬速度に差があり、伝搬に伴うパルス波形広がりのために伝送帯域が制限される。グレーデッドインデックス型ファイバではモード間の伝搬速度差が小さくなるように屈折率分布が設計されている。多モード光ファイバは、コア径が大きく、接続損が小さくて取り扱いが容易であり、比較的伝送距離が短い場合によく用いられる。単一モード光ファイバは、ステップインデックス型ファイバのコア直径を数µrn程度に小さくして最低次モードのみを伝搬させるもので、広帯域、長距離通信に適している。
単一モード光ファイバの伝送帯域は波長分散、偏波分散などにより制限される。波長分散は母材が持つ材料分散と導波路構造によって生じる導波路分散の和として表わされ、石英系単一モード光ファイバでは、波長1.3µm近辺で0になる。また、コアとクラッドの屈折率分布を制御することにより導波路分散を制御することが可能であり、最低損失波長である1.5µm近辺でゼロ分散になるように設計された分散シフトファイバは、長距離、広帯域伝送に広く用いられる。この他にも、群速度分散の傾きを平坦化した分散フラットファイバや、通常の単一モードファイバの分散を相殺する特性を持つ分散補償ファイバなど、様々な分散特性を持つファイバが開発されている。
また、コアにエルビウムやネオジウムなどの希土類を加えたり、母材自体の非線形光学効果を用いるなどにより、能動デバイスとしても利用される。波長1.5µm帯で利得を持つエルビウム添加ファイバ光増幅器は、光通信で広く用いられている。
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