半導体用語集

光リソグラフィ

英語表記:photolithography

光リソグラフィ技術とは、シリコン上に化学的気層成長法(CVD法)や蒸着法(スパッタ法)により形成された膜が堆積しているウェハに、レジストと呼ばれる感光性の有機高分子膜を形成し、マスクに描画されている回路パターンの原図を、紫外線を光源に用いた投影光学系を介してレジスト上に転写し、現像して所望する回路パターンをえる技術である。同技術の解像力が、半導体デバイスの徴細化の鍵を握っている。回路パターンを転写する際、解像力と同じように重要なリソグラフィ技術の尺度として、焦点深度がある。光リソグラフィ技術は、投影レンズを用いて回路パターンをウェハ上に結像させているので、ウェハの光軸方向の位置がレンズの結像面からずれると像がボケてしまう。半導体デバイスは、平坦な構造をしていない。したがって、ウェハをレンズの結像面に配置したとしても、デバイスの凹凸により一様な像はえられない。たとえば、デバイスの凸部にレンズの結像面があった場合、 凹部には段差分だけ焦点面からすれた像がえられてしまう。焦点面からずれても一様な解像力がえられる範囲を焦点深度と呼び、解像力とともにリソグラフィ技術の重要な尺度である。光リソグラフィ技術の解像力Rは、R=k1・λ/NAで定義され、焦点深度は、 DOF=k2・λ/NA2で定義される。ただし、k1 ,k2はプロセス係数と呼ばれ、レジストの解像性能に依存する値、λは波長、NAは投影光学系のレンズ開口数である。解像力を向上させるために用いられてきた手法は、主として縮小投影レンズの開口数NAを大きくしていく手法であった。しかし、焦点深度はNAの2乗に反比例するため、 NAを大きくすると焦点深度が浅くなるといった問題が生じる。光学系の焦点深度と解像性能は波長に反比例して改善されるという効果を狙って光源波長の短波長化がなされている。短波長化することにより、同じ解像力をえるのに必要なNAは短波長化の割合分だけ小さなNAで同じ解像性能をえることができる。その結果として、短波長化の割合の逆数分だけ、より広い焦点深度をえることが可能である。水銀ランプの輝線の一種である波長436nmのg線から、現在、波長365nmのi線、波長248nmの光を発するクリプトンフロライド (KrF)エキシマレーザが量産で用いられている。波長193nmの光を発するアルゴンフロライド(ArF)エキシマレーザを用いたリソグラフィ技術の開発が現在なされている。さらに最近、波長157nmの光を発するフッ素 (F2)レーザが、将来的な波長として注目を浴びている。


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