半導体用語集
加工変質層
英語表記:damaged layer
加工変質層とは、加工により表面に生成した内部と異なった層をいう。加工変質層の種類と測定方法は数多くあるが、とくに表層部の測定は1940年代において電子線回折の格好の題材として研究され、結晶構造の破壊、乱れ、非晶質層の形成などを通して、図に示すようなレーター(Reather)の変質層模型に代表される数々の模型が提案された。一般的には加工法、加工条件等によって異なり、それぞれに応じた加工変質層が多数発表されている。シリコンウェーハの加工工程をみるとダイヤモンド砥石による円筒研削やウェーハ切断、両面ラッピングといった粗面加工と、そのあとの鏡面加工のポリシングとでは加工変質層の規模や構造がかなり異なる。半導体デバイス用のシリコンウェーハは、高純度、高品質という点では最も優れた人工材料である。シリコン原子が三次元的に所定の位置に正確に配列しており、ウェーハ形状に加工しても表面まで原子の正確な配列が要求される。しかし。現実には、鏡面加工のポリシングで研磨パッド面の凸部が擦るだけでも原子配列が数層にわたって乱れる。研磨終了時にウェーハをポリシングパッド面から滑らしてとるだけでも同様な欠陥が発生する。もちろん、ウェーハ面に指先で僅かに擦るあるいは指数が付く程度の接触だけでも欠陥になる。このようなウェーハ表面の原子1~数層の乱れを検出することは困難を極めるのが普通である。ところが、MOS構造デバイスの製作と同様に、1,100~1200℃でwet酸素中で熱酸化を行うと、この乱れた層が再配列して熱酸化誘起積層欠陥を形成し、その僅かな加工変質層の存在を明示できるようになった。積層欠陥の検出には、ジルトルエッチング液が用いられる。なお、このような原子数層の乱れは、自然酸化膜に吸収される程度であれば、フッ酸を用いるエッチングや化学洗浄で除去でき、また、その範囲に入る研磨条件でメカノケミカルポリシングが行われている。このように加工変質層の研究も表面のかなり微細な領域にまで進んでいる。CMPによる変質層は、ウェーハのCMP面に直角な断面の格子分解電子顕微鏡像からはほとんど認められないことにより、CMPは化学作用が寄与している証拠の一つといえる。
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