半導体用語集

加工変質層

英語表記:subsurface

半導体デバイス基盤として使われるSi単結晶ウェハは、ウェハ加工プロセスのなかで、スライシング(内周刃、ワイヤソー)、面取り、ラッピング、ポリシングなどによる機械加工を受け、その過程でSi表面近傍の結晶は破壊され、その影響により結晶内部に残留応力が発生しダメージ層が形成される。ダメージ層、すなわち加工変質層が残留するとデバイス素子特性に悪影響を与えるだけでなく、デバイスプロセスの熱処理過程で転位の発生、ウェハの機械的強度が低下する原因になる。一般的に加工変質層は、非晶質層、多結晶層、クラック層および残留応力層から形成される。そのクラック層深さは、遊離砥粒で行うラッピングでは平均砥粒径と同等、内周刃(#500)では20~25μmである。ウェハ加工プロセスの中で、加工変質層の除去工程はラッピングの後工程でエッチングで行われる。そのため、最終仕上げのポリシングを終えた鏡面ウェハでは加工変質層は検出されない。
加工変質層の観察は、加工の方法に応じて深さや性質が異なり、それぞれの加工変質層に応じて、斜方研磨法、X線トポグラフィ、電子線回折方、偏向解析法が使われている。スライシング・ラッピング・研削の加工変質層には簡易的な斜方研磨法による観察が行われている。その手法は、たとえばスライシングの場合、小片を傾斜治具に貼り付け、傾斜面と平行に微細砥粒でラップしてポリシングで仕上げる。その後、Dash液(HF1:HNO33:CH3CO2H8~12)に浸漬し、クラック部分の選択エッチングを行い顕微鏡で観察する。内周刃によるスライスは、破砕切断であることから、加工変質層には多くのクラック層が形成されていることがわかる。また、ポリシングのように加工変質層が浅くなってくると斜方研磨法では観察できない。このような観察には電子回折法が適している。ポリシング面に電子線を入射させ、その反射回折パターンから菊池線の有無を観察する。


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