半導体用語集

反射防止膜

英語表記:anti-reflective coat

光の短波長化に伴い、光の基板での反射率(基板反射率)増大が問題となる。基板反射率の増大は、定在波効果を顕在化させる。定在波効果が存在するとレジストに吸収される光量がレジスト膜厚に依存して変化する。結果として、レジスト膜厚の変動や下地膜厚の不均一性により、回路パターンの線幅が変動してしまう。さらに、基板からの反射光が段差部で乱反射を起こし、ノッチングと呼ばれる回路パターンの断線を引き起こす。
 この光反射面で反射を抑制する膜のことを反射防止膜と呼び、半導体デバイスプロセスでは、露光時UV(紫外)光の不要な反射を吸収するためにウェーハにつける膜が対象になる。
 反射防止膜は、有機、無機系を問わすレジストの下層に配置するタイプと、レジストの上層に配置するタイプとがある。
 レジストの下層に配置するタイプの反射防止の原理は、レジストと反射防止膜界面からの反射光と、反射防止膜と基板界面からの反射光とが、互いに位相が反転し、振幅が同じになり、重ね合わせられた結果、お互いに打ち消すような、光学定数および膜厚を有する膜を反射防止膜として用いる方法である。反射防止膜は配線層にCVDや塗布などでつけられる。
 一方、レジストの上層に配置するタイプの反射防止膜は、エタロンの原理を用いたものである。すなわち、レジストと上層膜界面での反射光と、空気と上層膜界面での反射光とが、ちょうど位相が反転していて振幅が同じになるよう屈折率の透明膜をλ/4nの膜厚で用いる。主に塗布法でつけられる。
 また、反射防止膜の多くはとしての機能を果たした後に、工ッチングなどの次工程によって選択的に除去される。 そのため、エッチングの容易性、すなわち除去方法の容易性は、半導体プロセスにおいて重要な項目である。
 位相シフトマスクの種類は、大きく分類すると空間周波数変調型と工ッジ強調型がある。空間周波数変調型には、レベンソン型、多段型位相シフトマスクなどが代表され、工ッジ強調型には、ハーフトーン型、遮光強調型 (シフタ遮光型)、補助シフタ型などの位相シフトマスクがある。シフタ材料は、石英、スピン・オン・グラス(SOG : Spin On Glass)、テフロン系材料、レジストなどがある。マスク構造は、マスク基板の石英をドライエッチングなどで掘り込んだ基板掘り込み型や、遮光部/シフタ/基板、シフタ/遮光部/基板などの積層構造がある。また、空間周波数変調型位相シフトマスクでは、シフタ部、非シフタ部の両方を掘り込んだ両掘り込み型がある。


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