半導体用語集

対数正規分布

英語表記:log-normal distribution

 エレクトロマイグレーションに起因した故障の故障時間分布を近似するめによく用いられる。TDDB (Time Dependent Dielectric Breakdown,時間依存性のある絶縁破壊)起因の故障に対しても用いられることがある。確率密度関数を図1に示す。パラメータはメディアン寿命(t₅₀)と形状パラメータ(σ)である。時間tの原点をずらす位置パラメータγが必要な場合もある。
 名前からも推測がつくように,時間の対数を変数にすると,図2のような正規分布になる。正規分布は発見者の名前にちなんでガウス分布とも呼ばれる。あるいはランダムに入り込む誤差の分布でもあるため誤差分布とも呼ばれる。最も知られた連続分布ではあるが,半導体デバイスの故障時間の分布としてはあまり使われない。パラメータは平均(μ)と標準偏差(σ)で,対数正規分布のパラメータとの対応は,μ=In t₅₀,σ=σである。
 対数正規分布では変数がIn tではなくtであるため正規分布にはない1/tがつく。
 パラメータの値とともに分布がどう変化するかをみる。累積故障確率(累積分布関数)や故障率は解析的には求まらないので,数値積分か近似式で求める⋆。図3が確率密度関数,図4が累積分布関数そして図5が故障率関数で,おのおのその形状が形状パラメータσの値とともにどう変わるかを示したものである。図4の累積分布関数ではσの値によらずに一点(t₅₀=1×10⁶時間,F(t₅₀)=0.5)で交わっているのがわかる。図5の故障率曲線ではワイブル分布のように,必ずしも単調増加や単調減少というわけではなく,また切り換わりも明確ではないが,1から2付近に増加と減少の境目がある様子が分かる。σが2の場合を見ると分かるように,分布を当てはめる際は,実際に近似する領域も考慮して分布を選ぶ必要がある。
 互いに独立なアイテムが信頼性上直列に接続されたシステムの分布は、その信頼度が各アイテムの信頼度の積で表わせる。各アイテムのパラメータが等しい場合には,アイテム数をべき項とするべき乗で表わせ,対数正規分布の場合これをマルチ対数正規分布と呼ぶ。マルチ対数正規分布のアイテム数依存性を図6に示す。エレクトロマイグレーション故障をこの分布で近似しようとする試みもなされている(「ワイブル分布」の項も参照)。

⋆ 標準正規分布(μ=0,σ=1)の近似式としては,次のHastingsらの式がある。uが0か正の範囲で,誤差が10⁻⁷程度以下である。uが負の範囲は F(u)=1-F(-u) の関係を使って求めればよい。
F(u)=1-(1+d₁u+d₂u²+d₃u³+d₄u⁴+d₅u⁵+d₆u⁶)⁻¹⁶/2
ここで,F(u)は累積分布関数,uは変数,d₁~d₆は定数で値は以下のとおり。
d₁=.498673470×10⁻¹,
d₂=.211410061×10⁻¹,
d₃=.32776263×10⁻²,
d₄=.380036×10⁻⁴,
d₅=.488906×10⁻⁴,
d₆=.53830×10⁻⁵


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