半導体用語集

寿命分布

英語表記:lifetime distribution

 故障時間の分布である。故障特間布(failure time distribution)とも呼ぶ。略して,故障分布と呼ぶ場合も多い。実際の寿命分布を近似できる理論分布を指す場合も多い。
 よく用いられる理論分布は指数分布,ワイブル分布,対数正規分布である。故障の物理的原因から寿命分布を予測しようとする試みは数多くなされているが,どれも統一的なものではない。理論分布はあくまで実際の故障分布の近似であると考えて, どの理論分布で最もよく近似できるかは,実際のデータから求める必要がある。その際注意が必要なのは,どの埋論分布で近似できるかを確かめるためには,分布の全体を比較する必要があるが,実際の故障時間の分布で重要なのは寿命分布の短時間側の裾の部分である,という点である。この両方の要求を満たすためにはサンプル数を多く取る必要がある。また,混合分布や競合型分布の場合もあるので注意が必要である⋆。
 サンプル数が少ないとどのような問題が起きるかを具体例でみてみよう。図1および図2は同じ20個のデータをおのおの対数正規プロットおよぴワイブルプロットしたものである。ともによく直線にのっており,どちらでよく近似できるかの判断はこれだけからはできない。このグラフからおのおの対数正規分布に関して,t₅₀の推定値=1.135Xl0⁶, σの推定値=0.686,ワイブル分布に関して,ηの推定値=1.521X10⁶,mの推定値=1.789が求まる。この推定値を基に故障率曲線を図示したのが,図3である。データをプロットした10⁶時間付近では,両者は比較的一致しているが,それ以外では大きく隔たりがある。たとえば,10⁴時間では8.4Xl0⁶倍ワイプル分布の方が大きい。
 この同じ母集団からサンプリングした500個のデータに対して2種類のプロットを実行した結果を図4および図5に示す。図4の対数正規プロットではきれいに直線にのっているが,図5のワイブルプロットで中央付近はのっているが,両端で外れていることがかる。この結果から,この母集団は対数正規分布で近似した方がよいことがわかる。少量のデータの結果からは,安全サイドのワイブル分布を採用するしかないが,このように大量のデータを基に対数正規分布を採用することで,より精密な信頼性設計が可能になる。

⋆混合分布とは,母集団が異なる分布が混合した分布をいう。一方,競合型分布とは母集団は同じであるが,故障原因が複数ある場合をいう。前者は母集団ごとに分けて解析する必要がある。後者は累積ハザード紙法による解析が必要である。


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