半導体用語集

散乱電子

英語表記:scattering electron

物体に入射した電子が物体中で進行方向を変えながら広がっていくことを散乱といい、散乱する電子を散乱電子と呼ぶ。
電子ビーム描画における散乱には、 入射電子がレジストや基板中で入射方向にそって微小な角度で散乱しながら広がる前方散乱,基板中で大きく角度を変えて散乱して広い範囲に広がる後方散乱とがある。また、後方散乱電子が描画装置内の構造物で散乱され、再びマスク基板に入射する再入射電子も広い意味の散乱電子と考えることができる。前方散乱の散乱径(範囲)は加速電圧が大きくなるにつれ小さくなるが、後方散乱のそれは逆に大きくなる。加速電圧が小さいと、前方散乱量が大きくレジスト中に蓄積されたエネルギーのプロファイルがボケて解像力が落ちるため、近年は高解像力のために50 kVという高い加速電圧を採用した電子ビーム描画装置が広く使われるようになってきている。しかし高加速電圧化によって近接効果を発生させる後方散乱が増えるため、近接効果補正は必須な技術となっている。再入射電子は後方散乱ほどパターン寸法に影響を与えるものではないが、寸法の高精度化のためには低減させなければならない電子である。描画装置内の試料基板と対向する面を軽元素の材質でカバーする、ハニカム構造の面にして各筒内での電子の多重反射でエネルギーを減衰させるなどして、描画装置内での電子の多重散乱を抑える工夫が行わ れている。


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