半導体用語集

有機高分子膜

英語表記:organic polymer

LSIに最初に用いられた有機高分子膜はポリイミドと考えられる。モールド封止のための保護膜としての用途である。また、ポリイミドは金属配線用層間絶縁膜としても検討されてきた。ポリイミドの塗布成膜による平坦化絶縁膜の実現が、検討の目的であった。しかし、ポリイミドは吸湿性が高く、ビアホール加工(酸素プラズマによるエッチング)の困難性ともあいまって、主流の絶縁膜材科になるには至らなかった。
現在、有機高分子膜はその低誘電率性に着目され、低誘電率層間絶縁膜材料として多くの材料が検討されている。また、各材料メーカーよりLSI層間絶縁膜への適用を目的とした様々な新規商品が市場に出されている。LSI層間絶縁膜用として検討されている有機高分子膜は、ポリイミド系、芳香族エーテル系、芳香族炭化水素系、サイクロブタン誘導体およびフッ素樹脂系などに大別できる。大部分の材料は、塗布成膜法で形成されるが,芳香族炭化水素系およびフッ素樹脂系の一部材料はCVD法で形成されている。
多くの有機高分子膜は、3.0以下の比誘電率を示す。また、フッ素の添加が容易であるため、ポリイミド系や芳香族炭化水素系においては、フッ素添加による低誘電率化も試みられており、フッ素添加により誘電率および吸湿性の低減が報告されている。有機高分子膜の課題は、現在のメタライゼーションプロセスへの適合性にあると考えられる。現在のプロセスでは、ビアホール埋め込み用Wの成膜温度である450℃程度の耐熱性が要求される。材料によっては、この温度で熱分解が始まってしまう。また、分解しない場合でも課題がある。大部分の有機高分子膜はガラス転移点を持っが,多くの膜のガラス転移点温度は400℃以下である。このため、現在のプロセス温度では、プロセス中に材料の軟化が起きてしまう。有機高分子膜のガラス転移点をさらに上げるか、プロセス温度の低温下が必要となる。また、従来のシリコン酸化膜と比較し熱伝導性が悪いため、配線信頼性へおよぼす影響も懸念される。容易に低誘電率をえることができるが、メタライゼーションプロセス全体とのプロセス整合が課題として残っている。


関連製品

「有機高分子膜」に関連する製品が存在しません。

関連用語

関連特集

「有機高分子膜」に関連する特集が存在しません。




会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。