半導体用語集
深い準位
英語表記:deep level
キャリアの束縛エネルギーが大きく,室温においてほとんどイオン化できない点欠陥の電子エネルギー準位のことを,深い準位,または深い不純物準位と呼んでいる。きちんとした定義はないが,通常は,伝導帯最下端または価電子帯最上端から100meV程度以上禁制帯の内部に入った準位のことを指す。
深い準位はキャリアの束縛エネルギーが大きいため,いったんキャリアを捕獲すると長時間放出できない。このような振る舞いから,深い準位は捕獲中心(trap center),またはトラップという名前でも呼ばれている。電子と正孔の双方を捕獲しやすい性質を持った深い準位は,再結合中心(recombination center)として働きキャリア寿命を短くする。これと同じ深い準が空乏層中にある時には,発生中心(generation center)として振る舞う。固有点欠陥とその複合体や重金元素などは,深い準位となるものが多い。転位や表面準位などの結晶の不全性も,電気的な取り扱い上は深い準位と同様に考えられる。
化合物半導体中の深い準位は,荷電状態の変化に伴って格子緩和が起こり,キャリアの捕獲に対してもエネルギー障壁がある。特に,ガリウムヒ素中のEL2準位やAlGaAs混晶中のDX中心は,特に大きな格子緩和を示す系として知られている。その結果,ある特定の波長の光を照射すると準安定状態に遷移するフォトクエンチング現象や,光照射を中断した後にも電気伝導率が低下しない永続光導電現象などが観測される。
こうした深い準位の計測評価には,深い準位過渡分光法(DLTS法:Deep Level Transient Spectroscopy)やフォトルミネッセンス法が広く用いられている。
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