半導体用語集
点欠陥
英語表記:point defect
半導体結晶中には点欠陥として、シリコンならば本来Si原子が存在すべき結晶格子点からSi原子が抜けた原子空孔または空孔(vacancy)や、格子点以外の位置(site)にSi原子や他の不純物原子が侵入した格子間原子(interstitial atom)が存在する。絶対零度以上ではこれらの点欠陥の存在による結晶の不完全性を含む方が、完全な結晶状態よりもエントロピーの差の分だけ結晶系の自由エネルギーが低く安定となる。格子間原子には一つの格子点近くに2個の原子が対になって存在する状態(interstitialcy)と、結晶格子の中空部分に余分な原子が存在する状態(interstitial)がある。ダイヤモンド構造のSi、Ge結晶や閃亜鉛鉱構造の化合物半導体のinterstitial位置には、四面体位置(tetragonal site)と八面体位置(octahedral site)がある。不純物原子も点欠陥の一種であり、元素によって格子間位置または置換型位置を占有する。
点欠陥の電荷は、空孔には+1価、-1価と中性の状態が導入された不純物と格子間原子の対は、不純物がドナー型の場合は+1価と中性、不純物がアクセプタ型の場合は-1価と中性の状態があると考えられている。
空孔と格子間シリコン原子の間には対消滅反応や、完全結晶からの熱的ゆらぎによる空孔-格子間シリコンの対(Ⅰ-Ⅴ pair)の生成反応が起きる。不純物原子を含めると全部で5種の反応 がある。ここで空孔をV、侵入型格子間シリコン原子をI、格子位置の不純物原子をA、空孔と不純物原子の対をAV、格子間シリコンと不純物原子の対をAI、完全な結晶格子をOと表わすと、反応式は以下のようになる。
I + V ⇆ O (1)
A + V ⇆ AV (2)
A + I ⇆ AI (3)
AI + V ⇆ A (4)
AV + I ⇆ A (5)
式(1)はバルク再結合、(3)はキックアウト(kick-out)、(4)は解離(dissociation)と呼ばれる機構に対応する。
点欠陥の直接評価には空孔に対しては陽電子消滅法があるが、格子間シリコンに対しては適切な手段はない。また一般に、点欠陥の物性値の正確な測定は困難である。しかし観測可能な二次欠陥の密度と大きさの評価により、点欠陥密度(濃度)の算出が可能であり、OSFなどを用いた格子間シリコンの挙動の解析がなされてきた。また増速拡散やAuやPtなどの重金属拡散を用いて、点欠陥の拡散挙動が調べられている。
シリコン結晶では平衡状態では空孔の方が格子間シリコンよりも濃度が高い。しかしCZ-SiやFZ-Siの成長時に融点から固化して結晶が冷却する過程では、冷却速度と温度勾配の条件によっては対消滅と空孔の拡散により格子間シリコンが優勢な領域が生じる場合や、また空孔が結晶内に閉じ込められて凍結される場合などがある。点欠陥は素子製造プロセスにおいても導入され、イオン注入時の照射損傷により格子間シリコンが多数発生することや、酸化によって界面から酸化速度に応じた量の格子間シリコンが注入されることなどがその代表である。
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