半導体用語集

熱膨張係数

英語表記:thermal expansion coefficient

熱膨張率ともいう。一般には物質の体膨張係数αを指すが、固体では線膨張係数β=(dl/dT)l/oを用いることもある。ここでlは長さ、loは0℃での長さ、Tは温度である。一般にαβに≈3βの関係があり、アモルファスなどの等方性物質ではこれがなりたつ。結晶では結晶方位によりβは異なる。シリコンの〈111〉方向の膨張係数βは常温(300K)では2.6×10-6K-1となる。これは金属の10-6~10-5、石英の10-6のちょうど中間に位置する。たとえば口径200mmのウェハでは、1,000℃昇温すると直径は約200.7mmに増大する。熱膨張係数の精密測定は、空孔(vacancy)と格子間シリコン(interstitial silicon)の平衡濃度の測定に有効であり、FZ-Siを用いたX線回折(Bond法)による300~1500Kの格子定数の熱膨張係数の±2×10-7K-1の高精度測定により、空孔濃度の方が高いことが確認されている。この実験から求められた熱膨張係数の温度依存性は、次式のようになる。



半導体製造に関連した材料の中で、石英ガラスは特に熱膨張係数が小さい物質である。またセルファラインのコンタクトに用いるシリサイド(TiSi2、CoSi2、WSi2)のSiとの熱膨張係数の違いにより、転位が発生することがある。


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