半導体用語集

確率紙

英語表記:probability paper

 グラフィックに寿命データを解析するように設計された用紙で,縦軸(y軸)に累積故障確率(F)を,横軸(x軸)に時間(t)を割り当て,データをプロットした後,そのデータ点列に適合する直線を目の子(目分量)で引き,データ点列の直線への当てはまり具合から適合性を判断し,定規の操作と線引きのみから母数を推定することができる用紙である。現在では同様の操作をパソコンで行うことが多いが,その場合でもあくまでもグラフィックに解析を行っているのであり,最尤法などを用いる数値解析法とは異なる。
 ここでは,確率紙に共通の考え方を説明する。よく使われるワイブル確率紙と対数正規確率紙については,その構成と使い方を別項目で個々に説明する。
 完全データだけでなく定時打ち切りデータ,定数打ち切りデータヘの適用も可能である。累積ハザード関数(H(t))と累積故障確率(F(t))の関数(F(t)=1-exp(-H(t)))を利用して,H(t)の推定値からF(t)の推定値を求め,その値を打点に用いることで,ランダム打ち切りデータへの適用も可能になる。
累積故障確率およぴ時間のy軸とx軸への目盛付けは,対応する分布がグラフ上で直線になるように行う。これが直線であることで,分布への適合性の判断を目でみて容易に行うことが可能になる。また定規の操作と線引きのみでのパラメータの推定も可能になる。
 プロットすべきデータ点のx座標は寿命データそのものであるy座標はFの推定値を用いる。Fの推定値としてよく用いられるものはメディアンランクと平均ランクである⋆。メディアンランクは(i-0.3)/(n+0.4)でよく近似でき,平均ランクはi/(n+1)で厳密に与えられる。ここでnは故障していないものも含めた全サンプル数,iは故障時間を小さいものから大きさの順に並べた時の順位である。
 確率紙の具体的な使用法は「ワイブル確率紙」および「対数正規確率紙」の項を参照されたい。

⋆ n個の故障時間を小さいものから大きさの順に並べ換えたものをt₁,t₂,…ti…tnとする。これらを順序統計量として扱うと,F(ti)のパーセント点や平均は元の分布とは無関係で,サンプル数nと順位iのみで決まる。F(ti)のpパーセント点を100pパーセントランク,50%点をメディアンランク,平均を平均ランクと呼ぶ。


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