半導体用語集

積層欠陥

英語表記:stacking fault

 積層欠陥(stacking fault)は,結晶欠陥における面欠陥の一種である。
いま,完全結晶内部の結晶面を考えると,この結晶面は周期的な平行面の積み重ねとして空間に存在している。この周期性が崩れている場合,そこに積層欠陥が存在している。積層欠陥の周囲には転位(結晶欠陥の項参照)が存在する。
 積層欠陥には,イントリンシック型の積層欠陥とエクストリンシック型の積層欠陥がある。たとえば,イントリンシック型の積層欠陥は空孔が面に沿って析出し,原子面が面に垂直な方向に沿って押しつぶされた場合に形成される。また,エクストリンシック型の積層欠陥は格子間原子が面に沿って析出し,原子面を面に垂直な方向に沿って押し広げた場合に形成される。
 シリコンを酸化すると結晶内部に積層欠陥が発生する場合がある。これを特に酸化誘起積層欠陥(OSF: Oxidation induced Stacking Fault)と呼ぶ。これは,シリコンを酸化することにより余剰の格子間シリコンがシリコン結晶中に放出されたエクストリンシック型の積層欠陥である。また,通常のシリコン引き上げ結晶ウェハでは,ウェハ面内にリング状に酸化誘起積層欠陥が発生しやすい領域が形成される場合があり,これはOSFリングと呼ばれる。そして,OSFリングの内側には空孔過剰の領域,OSFリングの外側には格子間シリコン過剰の領域が形成される。一般に,OSFリングの半径は結晶の引き上げ速度によって変化する。


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