半導体用語集
表面エネルギー
英語表記:surface energy
表面における現象は,バルク結晶内部とは異なり,一つの物理化学的状態(相)から徐々に変化するのが一般的で,本来,熱力学的な平衡状態とはいい難いが,温度,表面積,表面の曲率半径,原子の質量などの状態量を用いて,熱力学的に扱うこともできる。この時,表面を含めた固体全部のエネルギーをバルク結晶のエネルギーと表面に起因するエネルギーに分割して,後者を表面エネルギーと呼ぶ。
バルク結晶を切り出すと結晶の表面が現われるが,新たな表面を作る時には表面原子が取り除かれ化学結合が切断されダングリングボンドが生じる。このため,表面を変化させる時にはある仕事が必要となりエネルギーに変化が起こる。一定温度,一定圧力の条件下で平衡条件が満たされながら表面積が増加する時,増加した単位表面積当たりに必要となるエネルギーを表面張力と呼び,その表面の変化が可逆的である時には,このエネルギー変化は表面エネルギー変化に等しくなる。
水滴やシャボン玉のような液体表面では,表面張力は一様であるので,表面エネルギーを最小にしてより安定化しようとして,表面積が最小の球形になろうとする。固体では,バルク結晶をどの方向で切り出すか(表面の方位)に依存して表面エネルギーが異なるため,より小さな表面エネルギーを持った方位の表面で取り囲まれた多面体に近づく(ファセッティング)。一般的には,(001),(111),(011)などで表わされる対称性の高い表面は,表面張力が小さく安定な表面である。化合物半導体の場合には,単位面積当たりのダングリングボンドの個数が多様な表面再構成により変化することと,多元系の表面エネルギーが成分元素とその表面濃度に依存することからより複雑である。
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