半導体用語集
酸素析出物
英語表記:oxide precipitate
CZシリコン結晶中に過飽和に固溶していた格子間酸素(一次欠陥)が、熱処理により析出して酸素析出物(二次欠陥)となる。通常は直径数100nm以下のSiO2またはSiOXからなる微小欠陥である。
析出初期の核形成段階の潜在核(embryo)では、表面積の体積に対する比が大きいため表面エネルギーが大きく不安定である。潜在核が安定な析出核となる温度は600~800℃程度である。核形成の機構は大きく均一核形成モデルと不均一核形成モデルに分類できる。前者は過飽和度が一定値に達した時、ランダムな組成変動により、析出核が結晶全体にわたり均一に形成されるモデルである。後者は結晶欠陥や不純物を核として析出数が形成されるモデルである。
析出物の成長段階の析出は反応式
2Si+2Oi→SiO2+Ι
に従って成長し、この時格子間シリコン(Ⅰ)が周囲に放出され、また析出したSiO2はシリコン結晶にくらべて体積膨張するため、シリコンに強い圧縮応力を与える。酸素析出物の形成とともに転位や積層欠陥などが次三欠陥として生じる場合があり、これらの微小欠陥は総称してBMDと呼ばれる。
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