半導体用語集

表面反応

英語表記:surface reaction

 化合物半導体の薄膜成長では,膜厚や組成が制御しやすい,多元系の化合物半導体も成長できるなどの利点により,気相エピタキシー(VPE:Vapor Phase Epitaxy),有機金属化合物化学気相成長法(MOCVD:Metal Organics Chemical Vapor Deposition)や分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などを用いる場合が多い。最近では,原子層ごとの成長方法も報告されている(ALE:Atomic Layer Epitaxy)。MOCVDは結晶成長素過程を考えるとVPEの一種と考えてよく,元素化合物(有機金属化合物,水素化合物,塩素化合物)の違いにより分類できる。
 気相成長法において,結晶成長素過程は,(1)元素化合物(有機金属化合物,水素化合物,塩素化合物)の基板への供給,(2)元素化合物の基板への吸着,(3)表面における元素化合物の拡散・反応,(4)副生成物の基板の脱離,(5)副生成物の排気からなると考えられる。この時,元素化合物が表面に吸着する前に変化して反応物質が生成している場合もある。薄膜の成長速度を温度の関数で表わすと,一般に,比較的低温において温度が上昇するに従い成長速度が増加する領域(領域Ⅰ),中間の温度において温度を上昇させても成長速度が変化しない領域(領域Ⅱ),比較的高温において温度が上昇するに従い成長速度が減少する領域(領域Ⅲ)に分けられる。領域Ⅰにおいては,結晶成長の素過程のうち表面における元素化合物の反応(表面反応)により成長速度が律速される(表面反応律速領域)。領域Ⅱでは,基板温度によらず,原料元素の供給速度により成長速度が律速される(供給律速領域)。領域Ⅲは,基板から原料元素が再蒸発するためであると考えられる。


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