半導体用語集
表面準位
英語表記:surface states
半導体表面では,結晶を形成していた化学結合が切断されダングリングボンドが生成する。シリコンSiやゲルマニウムGeなどの元素半導体においては,ダングリングボンドのエネルギーはバンドギャップの中間に存在し,表面から内側(バルク結晶)と外側(真空と呼ぶ)に向って減衰する表面準位を形成する。シリコン(001)面においては,表面の原子2個が結合してダイマーを構成して,ダイマーに残った2個のダングリングボンドはπ結合を形成して,結合軌道と反結合軌道による二つのエネルギーに分裂するが,依然としてバンドギャップ中に位置する表面準位である。
化合物半導体では,2種類以上の元素が表面とその付近に存在する。ヒ化ガリウムGaAsの(001)表面のガリウム原子とヒ素原子のダングリングボンドでは,ガリウム原子のダングリングボンドは伝導帯付近に存在し,ヒ素原子のダングリングボンドは価電子帯付近に存在するため,ガリウムのダングリングボンドからヒ素のダングリングボンドへの電荷移動が起こり,ガリウム原子に起因する非占有表面準位が伝導帯付近に存在し,ヒ素原子に起因する占有表面準位が価電子帯付近に存在することになる。しかし,実際のGaAsやGaPでは,表面欠陥,酸素や他の金属原子の吸着などによりきわめて高い密度の表面準位が,価電子帯最上部からバンドギャップの約1/3のエネルギー位置に存在することが知られている。表面準位の原因となる構造の定説はまだない。
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