半導体用語集

表面粗さ

英語表記:surface roughness

 成長したバルク結晶は,まずX線回折などにより結晶方位を測定し,特定の方向にスライス状に切断される(ウェハ)。ウェハの平行度,平面度を向上させ厚さをそろえる加工(ラッピング)を行った後,さらに表面が平坦になるように,微小な研磨用砥粒と加工液を用いた鏡面研磨が施される。しかし,機械加工された表面は平らにみえても細かくみると大きなうねり状の凸凹の上に細かい不規則な凸凹があり,また,ウェハ表面には破壊層が存在する。そのため,酸またはアルカリを用いて表面の酸化物を取り除く化学エッチングを行い,さらに平坦な鏡面をえる。最近は,イオンビームエッチングやプラズマエッチングなどのドライエッチングも使われる。このようにして,表面粗さ数nmから数10nmの表面がえられる。化合物半導体では,さらに,塩化物気相エピタキシーや有機金属気相エピタキシー(MOVPE:Metal-Organics Vapor Phase Epitaxy)(または,有機金属化合物化学気相成長法;MOCVD:Metal-Organics Chemical Vapor Deposition)などの気相エピタキシー(VPE:Vapor Phase Epitaxy),や分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)などの薄膜成長手法を用いながら,基板温度と供給する構成元素の量を制御することにより,表面の酸化層を取り除き,数原子層程度の凸凹の表面粗さを持つ基板を調整する。半導体超格子構造の量子井戸を応用した発光デバイスでは,発光波長が量子井戸の厚さに依存して変化するため,理想的には単原子層の表面粗さを持つ薄膜を必要とする。表面における構成元素間およびエッチング物質との選択的な反応を利用して,単原子層の成長・エッチングを可能にする技術も最近開発されている。



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