半導体用語集

配線抵抗

英語表記:interconnect resistance

LSIに用いられる薄膜金属配線の抵抗(R)は、金属の比抵抗をρ、配線の幅をW、長さをL、膜厚をTとすると、R=ρL/ (WT)で表わされる。これまで用いられてきたAl (0.5 wt%Cu添加)のρは成膜方法、チャンバの真空度、ターゲット純度にもよるがおおよそ3.0μΩ・cm程度であり、LSI内に用いられている平均配線長を 500μm、幅と膜厚をそれぞれ0.25μm、0.4μmとすると、平均長配線の抵抗は150Ω程度と見積られる。しかし、通常金属配線はAl単層で用いられることはない。Al膜の上下にバリアメタルと称する高融点金属膜(Ti/TiN; ρ= 50~100μΩ・cm)を敷く積層構造を取るために、配線間容量を一定に保つようトータルの配線膜厚を変えないで考えると、配線断面積に占めるAlの割合は減る。もしバリアメタルをAl膜の上下に0.025μmずつトータル0.05 μm敷くとすると、 Al 断面積は12.5%減り、その結果、電流は高抵抗のバリアメタル部分には流れないために配線抵抗は12.5%上昇することになる。したがって、前述配線抵抗を表わす式において、便宜上ρをρeff (実効比抵抗)と表現することが多く、配線断面積に占めるバリアメタル面積に応じてρeffはρにくらべて高く設定される。
LSIの高速化を実現するためには、電気信号が配線を伝播する時の遅延時間( =R C積; Cは配線容量)を短縮化することが必要であり、そのためには配線抵抗(R)を低減化することが重要となる。あるデサインルール(設計基準)で描かれた配線を想定すると、必然的に配線幅と長さは決まるために、膜厚とρeffのみがパラメータとなる。このうち、膜厚の変更は配線容量を同時に変化させるために好ましくなく、ρeff低減が課題となる。そこで、バリアメタルの膜質を改良して膜厚をできる限り薄膜化したり、金属材料そのものをAlからAuやCu、Agに変更してρ自体を低減することが重要となる。製造コストや材料の扱いやすさから、Cuの実用化検討が最も進んでいる。しかし、 Alにくらべてシリコン中や絶縁膜中の拡散係数が大きいことや、酸化されやすいことから Cuをシリコンや絶縁膜と直接接しないよう、バリアメタルで完全に被覆することが必須となる。バリアメタルと しては、TaNやWNが有力候補であるが、現状ではAlの場合にくらべて厚い膜厚が必要であり、配線寸法の微細化とともに確実に薄膜化できないとCu自体の抵抗メ リ ッ ト (ρ = 1.7μΩcm;Alにくらべて約40%低い)が引き出せない可能性もある。


関連製品

「配線抵抗」に関連する製品が存在しません。

会員登録すると会員限定の特集コンテンツにもアクセスできます。