半導体用語集

雑音

英語表記:noise

アナデジ混載LSIでの雑音は次の の3種類に分けることができる。(1) 素子固有の雑音,②信号に外部から混入する誘導性の雑音,(3)デジタル 信号処理に付随して生じる雑音,である。素子固有の雑音には純粋に物理的な理由で生じる,熱雑音,ショット雑音,1/f雑音(フリッカ雑音)とトランジスタ,抵抗などの素子が線形でないために生じる信号歪がある。非線形歪を小さくするには,おのおのの構成素子で線形性を要するものは面積が大きくなっても線形性のよい材料を選択する必要がある。たとえは,高い抵抗がほしい時にはn-ウェル抵抗がよく用いられるが,n-ウェル抵抗は基板バイアスの変化により抵抗値が大きく変動する。このような場合にはコストアップになるが,新たに抵抗ポリシリコンのプロセスを追加し,これによって作られる抵抗を使うなどである。また,トランジスタの非線形は動作点の最適化や信号振幅の最適化,利用する回路形式の適正な選択を行って必要な歪率を確保する。 誘導性の雑音には,電源に重畳された雑音が電源線を介して処理される信号に直接影響を与えるために生じる電源雑音,半導体基板に放射された雑音が信号経路に伝わるため生しる基板雑音,信号配線に容量性や誘導性で結合して生じる誘導雑音,大きな容量に充電された電荷をグランドに急速に放電する時など,グランド電位が基板電位より浮き上がった時や,トランジスタが五極管領域で動作する時生じるホットキャリアで生じる少数キャリアが,基板中を拡散して信号経路にあるpn接合に吸収されて生する雑音,MOSトランジスタを用いたスイッチの作用をするトランスファゲートのゲート電圧が変動することで信号電圧が変動するために誘導される雑音,トランスファゲートがオフする時にトランジスタのチャネル内の電荷が,ソ一ス電極どドレイン電極に均等に分配されないた めに生しる雑音などがある。 誘導性雑音を防ぐためには,アナログ回路を構成する領域とデジタル回路を構成する領域とを明確に分離し,電源も分けて供給するのが普通である。また,アナログ信号配線をデジタル信号の配線が横切ることがなるべくないようにする必要がある。さらに,アナログ回路をバランス型回路にして回路の持つ同相除去作用を利用することで雑音の混入を防ぐ。また,アナログ回路の周囲に基板コンタクトを設けて,基板電位を固定する方法も適宜用いられる。デジタル信号処理に伴う雑音には,アナログ/デジタル変換やデジタル/アナログ変換に伴い生じる量子化雑音これらが理想的な変換動作をしないために生じる雑音,デジタル信号処理に伴って演算桁数を丸めることにより生じる丸め雑音がある。演算桁数を大きくすれば雑音を減らすことができるが,ハードウェアの増大,演算処理時間が長くなる。また,A/D,D/A変換器に高い精度の物が必要になるため,コスト増を引き起こすので,最適化を図らなければならない。



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