半導体用語集

電子光学系

英語表記:electron optics

電場、磁場中での電子軌道を幾何光学における光線に対比させて記述する理論を用いて設計製作された電子光学鏡筒(カラム)を電子光学系と呼ぶ。カラムは、電子銃、電子レンズ、偏向器などで構成され、電子銃から放出された電子ビームは電子レンズによって縮小、偏向器によってブランキングや位置の偏向が行われ、ウェハ上の露光フィールド内に希望とするパターンが形成される。電子レンズは、ウェハ上の電流密度を調整し、倍率・焦点合わせを行うために用いる。電子銃から放出された電子ビームは、コンデンサレンズによってウェハ上での電流密度が設定され、第一アパーチャを照明する。第一アパーチャの開口部で成形されたアパーチャ像は、プロジェクションレンズで第二アパーチャ上に結像される。第一アパーチャ像と第二アパーチャの開口部との重なりで成形された成形ビームは、結像系の縮小レンズで希望の縮小率に設定され、対物レンズでウェハ上に結像される。可変成形ビーム方式では、電子ビームの形状を決定するために、第二のアバーチャの開口に対して偏向器により第一アバーチャ像の重なりを変え、希望とする電子ビーム形状を作る。この成形ビームが、対物レンズレンズ部に組み込まれた偏向器によってウェハ上で高速偏向され、露光フィールド内の所定の描画位置に照射される。ウェハは電子ビームの偏向方向と垂直なXY平面を移動するステージに搭載し、対物レンズ内の偏向器と連動させてステージを動かすことで、ウェハの全面を露光する。カラムには、高精度な描画と高い生産性が要求される。このため、カラム内に設置したセンサや反射電子検出器や、ステージ上に設けたファラデーカップなどで電子ビームを検出して、パターン寸法と描画位置の高精度な調整と校正が行われる。これらの作業は、人間の手で行うと校正精度が毎回異なったり、個人差が生じたり、時間が長くかかってしまうなどの問題点が多いため、自動化されたソフトウェア制御で行うことが多い。生産性向上のためには、一度に描画できる面積を大きく する、偏向器による描画領域を大きくするなどの装置開発が進んでいる。 一度に描画できる面積を大きくするとコラム内に流れる電流量の増加しクーロン反発によるビームのボケが大きくなる。生産性と解像性はトレードオフの関係にあり、解像性とスループットが両立する電流量で電子光学系を設計することが重要である。装置を安定して再現よく稼動させるためには、電子光学系の自動校正も重要である。また、長期の安定化のためには、コラム内に付着するコンタミネーション層へのチャージアップによるビームドリフトを防止することも大切となる。



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