半導体用語集

飽和電流

英語表記:saturation current

 FETの動作は、ドレイン電圧について三つの領域に分けられる。(1)まず、ドレイン電圧を0Vから上昇させていくと、ドレイン電流はそれに比例して増加する(線形領域)。(2)次に、ドレイン電圧がある値に近づくと、ドレイン電流の増加率が減少し、ある一定の値に近づく。この電流値のことを飽和電流(Idsat)といい、この領域を飽和領域という。線形領域から飽和領域へ移るドレイン電圧をニー電圧(knee voltage)という。(3)さらにドレイン電圧を上昇させると、ドレイン電流は急激に上昇を始める。これがブレイクダウン領域で、飽和領域からブレイクダウン領域に移るドレイン電圧を耐圧(breakdown voltage)という。飽和電流の値はゲート電圧(Vgs)としきい値電圧(Vth)によって決まり、MESFETではIdsat∝(Vgs-Vth)²、高電子移動度トランジスタ(HEMT)の場合は、Idsat∝(Vgs-Vtc)と近似できる。
 ドレイン電圧の変化に対する、ドレイン電流の変化率をドレインコンダクタンス、あるいはチャネルコンダクタンス(gd)という。すなわち、gd=(∂Id/∂Vds)vgs=const 。理想的には飽和領域においてはドレインコンダクタンスは0になる。ゲート長が小さくなると、飽和領域においてもドレイン電流は完全には飽和せず、ドレイン電圧とともに漸増する。


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