半導体用語集
PGA
英語表記:Pin Grid Array
挿入型パッケージの一つ。
PGAは1963年にInternational Business Machine社からの提案が始まりと考えられる。ピン状の端子がパッケージの全面もしくは一部から一定の間隔で取り出され,かつ格子状に配置されたことを特徴としたパッケージ(図1)である。
挿入型パッケージは,プリント配線基板のスルーホールに挿入して実装するため,両面ボード実装ができないデメリットがある。ピンピッチが2.54mm(標準)や1.778mm(千鳥格子)のPGAはこのような挿入型として使用される。しかし,1.27mmピッチのような狭いものは,実装基板のスルーホール設計が困難なため,表面実装タイプで使用される。
PGAの材料はセラミックスが一般的であり,その材料にはAl₂O₃が広く用いられている。熱伝導率.線膨張係数の点からAINが使用されることもあるが,コスト面から一部のハイエンド品の対応に止まっている。セラミックパッケージは,製造方法から積層セラミックパッケージと加圧セラミックパッケージに分類できる。PGAは前者の代表的なパッケージで気密封止を行っているため,高信頼性が要求されるチップの搭載に適している。
PGAの製造は,まずグリーンシート(セラミックスとして焼結する前の有機材料と無機材料からなる複合材シート)上にWなどの高融点材料を使ってメタライズパターン(電気的な接続を行うための導体の膜状パターン)を形成する。その後,各シートを積層した状態で同時焼成をし,一体成形する。同時焼成は.焼結により積層構造を形成し,厚膜導体と誘電体を作製するプロセスである。この構造から,PGAでは配線レイアウトを各レイヤごとで設計できる。キャビティ(チップが搭載される部分)の大きさとピン数により必要層数は決定するが,チップの要求に応じて電源層や接地層の層数を増やし,それらを配線層の間に加えることができる。ゆえにPGAは設計の自由度が大きく,電気特性の向上要求に適したパッケージである。
PGAはキャビティとピンの位置関係により2種類に分けられる。キャビティとピンが反対側にあるものをキャビティアップ,同じ側にあるものをキャビティダウンという。後者は背面にヒートシンクと呼ばれる熱伝導性のよい金属を搭載し,熱放散性を向上できる。このヒートシンク部に放熱フィンをつけることにより,搭載するチップの消費電力をさらに大きくできるが,前者では構造上フィンを取りつけることはできない。
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