半導体用語集

RCA洗浄法

英語表記:RCA clean

現在のウェハ洗浄法の雛形となっているRCA洗浄法は、米国RCA (Radio Corporation of America)社のKernとPuotinenにより1965年に開発され、1970年に発表された。1950年代のゲルマニウム素子作製においてもすでに不純物が歩留りに多大な影響を及ほすことが認識されていたが、当時はそれらの不純物の評価をする手段がほとんどなかった。1963年にKernらは放射性同位体元素分析法を用いてウェハ表面の金属不純物濃度を求め、溶液中での金属不純物の付着と除去の基礎的研究を行い、種々の知見をえた。その結果、ます初めにウェハ上の有機汚染物を酸化剤となりうる溶液により酸化除去し、同時に金属不純物も酸化反応物により除去する。そして溶液中に溶解した不純物イオンの再付着を防止するために、これらを錯体化する錯イオンを洗浄溶液に添加しておくという指針がえられた。彼らは検討の結果、強力な酸化剤として過酸化水素水を選び、それぞれアルカリと酸であるアンモニア水と塩酸水にこれを添加して洗浄液として用いた。すなわち、まずアンモニア水と過酸化水素水の混合溶液(Standard Clean1: SC1と呼ばれる)処理により、ウェハ表面に付着している有機物の除去を行い、純水リンスを行った後に塩酸水と過酸化水素水の混合溶液(Standard Clean 2: SC2と呼ばれる)処理で金属不純物を溶解、除去し、純水リンスを行い、最後に乾燥を行うというものである。これがRCA洗浄法と呼ばれる洗浄方法である。SC1は有機物除去の他に金属不純物を酸化、あるいはアンモニア錯体としてある程度除去することができる。また後にシリコン酸化膜やシリコンをわずかにエッチングし、さらにそれらの表面近傍のゼータ電位がSC1のようなアルカリ溶液中では大きく負の値となっていることから、パーティクルの除去と再付着の抑制にも効果があることが明らかとなった。SC2処理はSC1処理で除去できなかった金属不純物を除去するために行われる。強酸でかつ酸化剤が含まれる瀋液であるため、非常に除去しにくいシリコン上に付着してしまった貴金属(Cu、Ag、Au、(t)も瀋解、除去することができる。いずれの溶液もシリコン表面をわずかに酸化して厚さ1nm程度の化学酸化膜を形成する。これによりシリコン表面が化学的に不活性化し、表面への再付着を防ぐ保護膜として作用するという利点もある。オプションとしてSC1とSC2 の間にフッ酸処理を行い、SC1処理で形成される化学酸化膜中に取り込まれた不純物を化学酸化膜とともに溶解、除去する場合もある。


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