半導体用語集
SC1
英語表記:Standard Clean 1
アンモニア水と過酸化水素水と水の混合溶液のことを指し、主としてシリコンウェハ上の細かい異物(パーティクル)や有機物を除去するための洗浄溶液として用いられる。また、金属不純物の多くも酸化、溶解、錯体化されある程度除去される。SC1とは、Standard Clean1の略で、Kernらによって提唱された、いわゆるRCA洗浄法において最初に用いられる洗浄溶液である。この洗浄溶液の典型的な使用条件は、組成比が体積比でアンモニア水(28~30wt%)が1、過酸化水素水(30 wt%)が1、水が5で、処理温度は60~80℃、処理時間10分である。近年この洗浄溶液がシリコン自体をエッチングすることから、シリコン表面の平坦性を悪化させることが明綉かとなり、また環境間題やコストダウンなどの見地から、アンモニア水と過酸化水素水の組成比を1桁から2桁小さくしたSC1溶液が用いられるようになっている。しかしながら、このような希薄なSC1溶液の場合においても洗浄能力は低下することはなく、むしろ向上することが示されている。このSC1溶液は、シリコン表面に膜厚約1nmのシリコンの化学酸化膜を形成し、また同時にシリコン酸化膜とシリコンをわずかにエッチングする。このようなエッチングに伴い、パーティクルも同時にリフトオフ(lift off)によって除去される。これがパーティクル除去機構の一つであるといわれている。また、一度表面から除去されたパーティクルが再度表面に付着しない理由の一つとして、SC1溶液はpH (水素イオン濃度)が9以上のアルカリ溶液であるために、このような溶液中ではシリコン酸化膜やシリコン表面に形成される電気二重層のすべり面における界面動電位(ゼータ電位)が負でかつ大きな値となるために、パーティクルがシリコン酸化物やシリコンである場合は、パーティクルとウェハ間に作用するファンデル・ワールスカに勝る、大きな静電的な反発力がウェハとパーティクル間に生じるためだと考えられている。このSC1処理の洗浄能力をさらに向上させるために、メガソニックにより物理的な力を印加させながら洗浄を行う場合がある。また SCIのパーティクル、有機物不純物除去能力をそのままに、さらに金属不純物除去能力を高めるために、これに金属の錯体を形成するような錯イオンを添加し、SC1処理のみでウェハの洗浄を完結しようという試みもある。
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