半導体用語集

エレクトロマイグレーション

英語表記:electromigration

半導体デバイスのアルミニウム (Al)配線などの金属配線電極に105 A/cm2以上の高密度電流を長時間流し続けると、電子流の方向に配線金属原子が陰極側から陽極側へ移動し、配線が断線する現象をいう。これは電子流の運動量が金属原子の運動量に変換されるため起こる現象で、配線幅、膜厚が局所的に変化したり異種金属の界面があると、金属原子流が発散する場所で断線し、原子流が収束する場所で凝集(ヒロック)が発生する。
 長時間高密度電流を流し続けた時のAl配線の寿命(配線の50%が断線するまでの時間)はBlackの経験式、MTF=A・J-n・exp(Ea/kT)により、電流密度のn乗(n~2)に反比例することが知られている。ここで、MTFは Mean Time to Failureと呼ばれる寿命、Jは電流密度、 Eaは移動の活性化エネルギー、kはボルツマン (Boltzmann)定数、Tは絶対温度をそれぞれ表わす。エレクトロマイグレーションを抑制するには配線金属薄膜の粒径を大きくして原子の粒界拡散を抑制することで活性化エネルギーを大きくしたり、配線幅を粒径より細くして粒界拡散を抑制したり、Al原子が移動しにくいようにCu、Tiなどの添加物を混せたりといった対策を行っている。移動しにくいAlより融点の高い金属(Cu、W、Au)を用いる。


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