半導体用語集

レジストプロセス

英語表記:resist process

リソグラフィはレジスト塗布、位置合わせ、露光、現像の工程が基本であるが、そのうちレジスト処理を総称してレジストプロセスと呼ぶ。レジスト材科の選択、レジストシステム(単層プロセス、多層レジスト、反射防止プロセスなど)の選択、前処理/塗布/べーク/現像などのレジスト処理条件の最適化が行われる。レジストプロセスは要求されるパターンサイズ、露光方式・波長の違いなどを考慮して選択/最適化する必要がある。歴史的には、解像性能の点から環化ゴム系レジストからノボラック系レジストに変わり、密着性の問題から前処理としてデハイドロべーク/HMDS処理が加わった。さらにg線での高解像レジストが開発され、高解像化に不可欠なプロセスとして露光後べーク (PEB、Post Exposure Bake) が導入された。i線化ではレジスト高解像化手法の延長で比較的容易に移行できたが、KrFエキシマ露光への移行では、新しい化学増幅レジストの導入されたため、新たにクリーンルーム中のアミンの影響を遮断しプロセス環境を制御する技術が必要になった。また短波長化に伴い基板反射率が大きくなったため、反射防止プロセスも本格的に採用されるようになった。KrFエキシマ露光では露光装置よりレジストプロセスの開発が実用化を律速した。露光光源に対応するレジスト材科の変更には材料そのものの開発だけでなくプロセス開発にも大きなリソースが必要である。次世代露光技術であるArFエキシマ露光では新たな材料である脂環族レジストが使われると考えられており、それに対応したレジストプロセス開発が急がれる。最先端LSIプロセスでは、KrF工キシマ露光技術とi線露光技術が使われているが、安定した量産技術としてレジストプロセスの重要性は高い。単層ポジレジストプロセスでは、HMDS処理→レジスト塗布→プリべーク→位置合わせおよび露光→ PEB →現像という処理が行われる。以下に各処理について簡単に述べる。レジスト塗布ではKrFエキシマ露光では0.4μmから1μm程度の化学増幅レジストが、i線露光では0.7μmから1.3μm程度のノボラック系レジストがスピン塗布される。8インチウェハ内のレジスト膜厚分布として3nm (3σ)程度がえられている。必要に応じバックリンス、工ッジリンスなどにより不当なレジストを除去する。その後0.3~0.5℃ぐらいの温度分布を有するホットプレートにてプリべークを行う。i線レジストでは90℃程度、KrFレジストでは化学増幅レジストのタイプによるが80~100℃が用いられる。露光後べークはi線レジストでは感光剤であるナフトキノンジアジドを拡散させるため110℃程度のべーク処理が、KrFレジストでは酸による脱離処理を行わせるため、100~150℃程度のべーク処理が行われる。KrFレジストでは重要なプロセスであり、露光-PEBまでの時間により線幅が変動、したり、Tーtopと呼ばれる庇形状が生しることがある。これを防ぐためケミカルフィルタにより空気中のアミン(特にアンモニア)を除去し1μg/cm3以下の濃度環境下で処理が行われる。KrFレジストでは PEB温度・時間にパターン形状が大きく依存するためプロセスの最適化を行うか、レジスト材料の選択を行う必要がある。現像はパドル現像と呼ばれる方法が一般的である。i線レジスト、 KrFレジストとともに露光部はアルカリ可溶性になっており、アルカリ水溶液(現像液)により露光部が溶けパターンが形成される。現像液としてはKOHも使われるが、LSIプロセスではアルカリ金属を嫌うため2.38%のTMAH水溶液が広く使われている。基本的なレジストプロセスにおいても、レジスト材料の特徴および露光装置を十分に考慮するとともに,必要に応し反射防止プロセスなどの付加プロセスを特徴を生かして取り入れ、プロセスを構築することが安定な量産技術の確率に不可欠である。


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