半導体用語集

不純物分布

英語表記:Impurity profile

拡散終了後の固体結晶表面から内部への深さ方向における不純物原子の濃 度分布。拡散係数が不純物原子濃度に依らず一定の場合、不純物分布は特定の初期条件、境界条件の下では補誤差関数あるいはガウス関数で表わされる。不純物分布は二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy: SIMS)により評価することができる。また、Si中のドーパント拡散では、ドーパント原子は電気的に活性化し、キャリア(電子あるいは正孔)を発生させるため、広がり抵抗法や4探針法などの電気的測定によりキャリア分布を求めることができる。均ーな抵抗率pのSi基板に半径aの針を接触させ電流を流した時の抵抗(広がり抵抗という) Rsは、
   

で与えられる。針近傍のポテンシャル分布の数値計算から、広がり抵抗の約70%は接触面から針の直径の深さまでの範囲の抵抗で決まる。 このように広がり抵抗は接触点のごく近傍でほとんど決定されるため、連続的に抵抗が変化する不純物拡散層に対して、局所的な抵抗を測定するのに有効である。 実際には、拡散試料を浅い角度 (1度程度) で斜め研磨し、その面上に針を深さ方向へ走査して広がり抵抗を求める。広がり抵抗から抵抗率への変換は、Rs-ρ校正曲線を用いて行う。 広がり抵抗測定における問題点は、この変換曲線が測定条件によって影響をうけやすいことである。 また、4探針によるシート抵抗(層抵抗)測定と表面からの薄層除去(陽極酸化とHFエッチング)を組み合わせた方法も良く用いられる。除去される層の厚みを⊿ιとすると、その層内の抵抗率ρは,


で与えられる。ここでρs1、ρs2はそれぞれ薄層除去前後のシート抵抗の値である。抵抗率はIrⅵn曲線(抵抗率ー不純物濃度の関係)によりキャリア密度に変換される。このプロセスを繰り返し、キャリア分布を求める。しかし、この方法は時間がかかることが難点である。
ドーパント原子が100 %電気的に活性化している時には、不純物分布とキャリア分布は等しくなる。しかし、固溶度に近い高濃度拡散においては、特に表面近傍において両分布の不一致がみられる。これは、ドーパントの不活性化を示しており、デバイス作成で間題となる。


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