半導体用語集

低誘電率膜

英語表記:dielectric constant film

誘電率がニ酸化シリコン(Si02) の3.8よリも小さい村料の総称。デバイスの徴細化に件い、配線間容量の増大が配線遅延に与える影響が大きくなり、これに対処するためには、低誘電率膜を層間絶縁膜に用いる方法が有効である。ニ酸化シリコン中にフッ素(F)原子をドープすると誘電率が3.5程度のSiOFがえられる。通常のプラズマCVD法を用いたSiOFは耐水性が課題となっている。高密度プラズマ (HDP) CVD法を用いて緻密な膜を成膜することによって、耐水性と平坦性に優れた層間膜がえられるようになってきた。塗布法を用いると、誘電率3.0程度の有機SOG (Spin On Glass)やHSQ (無機水素化シロキ酸)がえられるが、キュア(硬化)工程中の収縮や、溶剤中に含まれる不純物の放出の制御が課題となっている。キュア (硬化)工程中の収縮は、配線材料に余分なストレスを与え、マイグレーションを生しやすくする。溶剤中に含まれる不純物の放出は、トランジスタ特性の劣化をもたらす場合もある。誘電率を2.5程度まで下げることを目的として、塗布法によるHOSP (有機シロキ酸系ポリマー)や、高密度プラズマCVD法によるフッ素化アモルファスカーボンの研究も盛んに行われている。これらの有機材料においては、耐熱性や耐酸化性、配線材料との密着性の向上が課題となっている。さらに誘電率2.0以下を目指した材科として、 多孔質SOG (Spin On Glass)が注目され、SOGゾルの液相シリル化による多孔質化やアミン処理による細孔化の検討が行われている。低誘電率材科が本格的に用いられ出すのと同時に、配線材料の一部がAlからCuに移行しつつある。Cuとの併用が、低誘電率材科開発の最終ゴールとなっており、その実現には未解決の課題が多く残されている。


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