半導体用語集

光励起

英語表記:photo-excited cleaning

光(主として紫外線(UV))をガスに照射して化学的な活性種を生成し、それを被洗浄ウェハ表面に導き所望の汚染物を除去する方法である。塩素(C12)に水銀ランプや水銀キセノンランプなどから発せられるUVを照射すると、Cl-Clの結合エネルギー (239.2kJ/mol)より光子工ネルギーが大きいために、塩素分子は解離して塩素原子が生成される。塩素原子は化学的に非常に活性であるので、それをウェハ表面に導くと表面の金属不純物は揮発性の塩化物として表面から除去される。この時化学反応や副生成物の揮発の促進を図るため、ウェハの温度を100~200℃程度まで上げてもよい。また、特に被洗浄物がシリコン基板の場合、塩素原子によりシリコンもエッチングされるので、リフトオフ効果によっても金属不純物は除去されると考えられる。しかし過剰なシリコンのエッチングは素子構造を作製するうえで間題となったり、ウェハ表面のラフネスの増大を招く。このようなラフネスの増大は塩素に加えて水素やジクロロシランを添加すると抑制されることが示されている。塩素と同様に塩酸 (HCl)を用いた場合には、シリコン表面のラフネスの増大を伴ずに金属不純物を除去できることが示されている。これは塩酸分子の解離により生成される水素によりラフネスの増大が抑制されているものと考えられる。ウェハ表面の有機物を除去する目的で酸素にUVを照射して酸素原子やオゾンなどの非常に活性な酸化種を生成し、これで有機物不純物をC02などに分解除去する方法がある。通常は低圧水銀放電ランプから発せられる波長185nmの光によって活性種を生成する。洗浄のみではなくレジスト剥離などの厚い有機膜の除去にも適用できる。またこの酸化活性種によってシリコン表面には数nmの酸化膜が成長し、これが保護膜として作用する。三フッ化窒素(NF3)と水素(H2の混合ガスに、自然酸化膜の成長しているシリコンウェハを曝し、アルゴン-フッ素(ArF)エキシマレーザ(波長: 193nmを照射すると、自然酸化膜が除去されることが明らかにされている。これはレーザの照射に伴い、フッ素や窒素原子が生成され、これがシリコン酸化膜と反応してSiF4、NO2, N20などの揮発性化合物を生じながらエッチングが進行するためといわれている。



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