半導体用語集
劈開
英語表記:cleavage
結晶が特定の結晶学的な格子面(劈開面)に沿って破断、分裂する現象を劈開という。劈開面に垂直な方向では、面間の原子(イオン)の結合力が他の方向より極端に弱い。一般に開面は原子密度が最も高い面である。シリコンやゲルマニウムなどのダイヤモンド構造の単元素半導体では、最密な {111)が第一劈開面、{110}が第二劈開面として知られている。
化合物半導体では共有結合だけでなくイオン結合も関与するため、最密な面が必ずしも劈開面とはならない。 GaAsなどの閃亜鉛鉱型構造のIII-V化合物半導体では、電荷が中性の最密面である【110}が劈開面となる。このため、III-V化合物ではすべり面 {111} と劈開面が一致しない。
劈開面の状態は結晶構造、結合力の性質、温度、外力を加える速度、結晶中の転位密度や不純物分布などによっ て異なる。劈開面を反射型微分干渉顕微鏡で観察すると、川の流れのような模様(river pattern)がよくみられ る。この模様は高さ数10nmのステ ップの集団からなり、これらのステッ プは原子層単位のステップの集合であ る。劈開は、ウェハからチップを切り 出す時にも利用される。
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