半導体用語集

標準化

英語表記:standardization

 標準化のメリットは、マクロ的にみると、ムダを排除し、あらゆるものの互換性を高めることによって、科学・技術・経済・行政の合理性を確保することができることにある。ミクロからみた場合、単独企業が一定規模以上の投資を負担すれば、それを確実に回収できると断言できない昨今の経営環境の中で、企業は他社と提携を結ぶことなどによって、リスクを小さく抑えていく際、製造・流通行程の標準化を進めることによって、効率性を向上することができる。経営のスピード、効率性が求められている昨今、様々な分野で標準化の動きが広がっている。こうした背景のもと、大きく二つのプロセスの流れの中で標準化が進められている。
 一つは先に商品を出してユーザーを獲得する戦略である。いわゆる「デファクトスタンダード」を狙った戦略であるが、これはある市場において、自社および自社のファミリー企業だけで多くの顧客を獲得できると判断し、製品導入を先行させ、標準化を狙うことになる。その結果、早い段階でユーザーを数多く獲得できれば、自社製品を業界標準にすることができる。マイクロソフト社のWindowsやインテルの Pentiumなどがその好例である。
 二つ目は事前にどの規格を業界標準とするか、他の企業と調整するものである。ネットワーク外部性が働く産業では、業界標準の決定が企業間競争に非常に影響を及ぼすため、時間をかけ事前調整し、業界基準を決定してから他社と互換性のある製品を供給していくのである。ネットワーク外部性とは製品などのユーザー数、あるいはネットワークのサイズが大きくなり、そのネットワークに参加するメンバーが多くなればなるほど、その財からえられる便益が増大することをいう。コンピュータ産業のように技術革新のスピードが速い場合、製品導入を先行させ、ユーザーを獲得し圧勝するケースが多く、日本の家電メーカーは、DVDのように事前に業界標準を決定してから商品化を進める後者の戦略が採用されている。半導体産業では、12インチウェハやIPのインフラがこれに相当する。
 一方、標準化の問題点としては、標準化することは、複数企業の取引の時など互換性を持つことができたり、複数企業で製品の製造を分担できるという点で便利であるが、ある時点において規格を決定するため、それ以降に起こった技術革新を取り入れにくくなるという問題点もある。そのため、あまりに早く標準化をしてしまうと、陳腐化された技術をベースにした商品が市場に出回ることになり、技術革新による便益をユーザーが享受できなくなる可能性がある。

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