半導体用語集

真空蒸着

英語表記:evaporation

真空中で固体を加熱して蒸発あるいは昇華させて気体にしその蒸気を基板ウェハ上で凝縮させて薄膜を形成する技術をいう。蒸発は固体の蒸気圧力と分子量mで決まる蒸発速度、 w = apom /2pRTで決定される。ここで、Rは気体定数、Tは絶対温度、 aは蒸発係数である。蒸発した分子は点蒸発源を中心として三次元空間に均等に飛び出し、単位立体角中の分子束は蒸発源の表面積をAとすると、F= wA/4pで表わされる。平均自由行程より短い距離にある基板にははとんど散乱を受けずに到達し、表面で結晶核を作りクラスタ化し薄膜を形成する。
 蒸発源にはW、Ta、Moなどの高温材料が用いられ、フィラメント型、ポート型、るつぼ型のものがある。ポート型やるつぼ型の材料にはグラファイトも用いられる。るつぼ型の加熱方法としては、ヒータによる加熱の他に高周波誘導加熱が良く用いられる。誘導加熱用の電源周波数は数kHzから数100kHzであるが、周波数が低くなるとインピーダンス整合器が大きくなるので50kHz前後のものが使いやすい。基板温度は形成される膜密度を決める大きな因子である。一般に物質の融点(K)の25%までは密度の低いがさがさした膜が形成され、25~50%では、柱状組織を持ったバルク密度の90%以上の膜が形成される。50%を超えると結晶構造が現れ始める。 固体蒸発源の加熱方法として抵抗加熱、電子ビーム加熱などがある。
特殊な蒸着として超高真空で高純度エピタキシャル膜などを形成する分子線蒸着 (MBE: Molecular Beam Epitaxy) や分子をイオン化するクラスタイオンビーム蒸着がある。



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