半導体用語集

フリップチップボンディング

英語表記:flip chip bonding

 チップ上の半導体素子が形成された面を基板と向かい合わせるよう(フェースダウン)に,チップと基板の接続端子間を電気的に接続する技術。
 主な接続方式は.チップ上の接続端子に形成されたバンプ材料により,はんだ系の接続方式とAu系の接続方式の2種類に大別できる。
 はんだ系の接続方式に用いるバンプには,Pb/Sn系の高融点はんだと共晶はんだが一般的に使用される。接続工程は,はんだ酸化膜除去としてのフラックス供給,リフローによるはんだの加熱溶融,冷却,フラックスの洗浄で完了する。はんだ系の接続方式では,はんだの溶融接続のため,電極下にある半導体素子に無理な負荷(応カ)をかけず接続できる。そのため,半導体素子上にも接続端子の形成が可能で,チップ素子面全面にエリア状にバンプを形成できる。よって,はんだ接続方式は,多ピン化に応用できるメリットがある。
 Au系の接続方式では,ボールバンプ法で形成されたAuバンプを用いた方式が一般的であり,AuバンプとACF(Anisotropic Conductive Film;異方性導電膜)の組み合わせによる接続が広く用いられる。ACFは,異方性導電材料の一種で,導電性粒子を混入させた樹脂フィルムのことである。接続工程は,基板上のチップが実装される部分へACFの仮圧着,フェースダウンによるチップの熱圧着で完了する。工程数は,はんだ系の接続方式に対して少なくなる。しかし,熱圧着時に接続するため,バンプの高さばらつきが大きい場合に,接続不良の発生や接続端子の下地へのダメージなどが懸念される。通常は,バンプの高さばらつきを減らすため,バンプを平坦化して使用する。異方性導電材料として,フィルムではなくペースト状であるACP(Anisotropic Conductive Paste;異方性導電ペースト)も近年開発され,注目を浴びている。
 また,Au系の接続方式で上記以外では,液晶モジュールなどの光硬化性樹脂を使用したCOG(Chip On Glass),導電性接着剤(金属微細粉末を液状樹脂に混入したペースト)を使用した方式なども開発されており,Auバンプを使用した接続は様々な方式が存在する。


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