半導体用語集
設備投資
英語表記:equipment investment, capital investment
半導体は一般的に、巨大設備投資産業である。特に、テクノロジドライバである最先端のDRAMでは、一つの工場で1,000億円を超える設備投資が必要となる。日本の総合電機メーカーは、生産金額の15~30%に相当する設備投資を行ってきた。半導体はこうした減価償却費や研究開発費など、コストに占める固定費の割合が、直材費などの変動費より大きい典型的な装置産業である。このため、稼動を維持し操業度を上げることが必要になる。需給が逼迫していた時は、キャッシュフローを超える強気の設備投資をしがちで、供給過剰から市況は悪化し、そこで設備投資を控えるから、今度は供給不足から需給が再び改善することになる。しかも、半導体、特にDRAMは限界利益率が大きく利益への影響が大きい。これがシリコンサイクルごとに半導体事業の業績が大きく変動する要因となる。基本的には、市況に左右されず、コンスタントに設備投資を続けることが重要である。特にDRAM需給が逼迫していた1995年度は、総合電機メーカー合計で9,000億円近くまで達した。韓国や台湾もDRAM中心に、それぞれ5,000億円近い強気の投資を行ってきたので、1996年から 1998年にかけては大幅な供給過剰となり、市況は一気に悪化した。この価格低下を数量増で補えず、減価償却費負担が重くのしかかり赤字に陥っている企業が多い。キャッシュフローベースでも赤字に陥っているものさえある。しかも、半導体の設備投資は、年々巨額化している。微細加工レベルが上がり、より高いクリーン度が必要とされ、工程数が長くなっていること、大口径化などが要因である。DRAMでは、1Mで約450億円であったものが、4Mで600億円、16Mで800億円、64Mで1,200億円と、世代交代ごとに増えている。12インチ256Mのラインでは1,700億円規模になるとの試算もある。このため、投資効率も悪化し、適正とされる1.0どころか、ここ数年は0.5以下となっている。
近年、企業の収益性を計る尺度として、ROE(Return On Equity)やフリーキャッシュフローが重視されているが、これを改善するため、設備投資を減らし、海外メーカーとJV(ジョイトベンチャー)を設立したり、ファンドリ企業を活用する例も増えている。また、DRAM工場に設備投資を集中するのではなく、最先端のラインが必要とされているロジックにも設備投資を振り向ける割合が増え、混流生産が増えている。
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