半導体用語集

DVD

英語表記:Digital Versatile Disc

 DVDの名がつくファミリーには、DVDビデオプレーヤ、DVDオーディオプレーヤ、DVD-ROM、DVD-Rなど様々なカテゴリが存在するが、ここでは、DVDビデオプレーヤに絞って話を進める。
 このDVDビデオプレーヤは、レーザディスクやVCD(Video CD)と同様、DVDディスクに記録された映像、音声を再生する機器である。このシステムの特徴は、VCDと同じ直径12cm(8cmのディスクも存在する)の光ディスクを使用しているにもかかわらず、VCDを上回る高画質、高音質に加え、VCDの約2倍の133分もの長時間の映像情報を記録可能としている点である。さらに、様々な新しい機能が追加され、「次世代のマルチメディアディスク」と呼ばれるべきシステムを実現している。
 DVDビデオプレーヤとDVD­-ROM用ディスクは、物理フォーマット、ファイルフォーマットともに同じであり、データ内容のみが異なっている。
 DVDビデオプレーヤ用のディスクに納められるデータには、画像、音声、サブピクチャ(グラフィック)の3種類があるが、これらの主な仕様は以下のとおり。
①映像:MPEG-2方式で圧縮されたNTSC/PALの映像データ、4:3および16:9のスクリーンに対応
②音声:最大8ストリームまで対応可能(複数の方式の音声データを最大8種類まで内蔵可能)
・ドルビーデジタル(AC-3):最大5.1ch、サンプリング周波数48 kHz
・リニアPCM:最大8ch、サンプリング周波数48、96kHz、ビット数16、20、24bit
・その他(MPEG-2 Audio、MPEG-1 Audio、DTS、SDDS)
③サブピクチャ:最大32ストリームまで対応可能、16色カラー

 映像は、アスペクト比(画像の縦横比)をディスプレイに応じて変化させることが可能であり、16:9の映像データを4:3のディスプレイに変換して出力するためのレターボックス機能、パンスキャン機能への対応も実現している。
 音声は、最大8ストリームの音声データを記録可能なため、同一の映像に同期した8種類(8ヶ国語)の異なる吹き換え音声への対応が可能である。また、これら音声データは、ドルビーデジタル(AC-3)、リニアPCMなどの混在も可能である。
 サブピクチャは、字幕スーパーやカラオケの歌詞の表示の他、グラフィック機能をフルに使ってメニュー画面などを作成することも可能である。また、このサブピクチャの機能を字幕スーパーに応用する場合、32までの異なるストリームのデータを記録可能なため、最大32ヶ国語の字幕スーパーまでも対応可能である。
 さらに、上記の基本機能に加え、以下のような特殊な機能がDVDプレーヤの標準的な機能としてサポートされている。
(1)マルチストーリー機能
 ユーザーによるメニューからの選択や、あらかじめディスクに設定されている(分岐先指定、ランダム分岐)指示により、ストーリーの展開や結末を様々なものに変えることを可能としている機能。
(2)マルチアングル機能
 同じシーンのカメラアングルを、ユーザーが好きな時に、最大9アングルの中から自由に切り換えることが可能な機能。また、その切り換え時に再生がとぎれることなく、スムーズに連続して再生されること(シームレス再生)も特筆すべき機能である。
 DVDはこれからのマルチメディアに対応した媒体であり、大容量や高画質・高音質だけでなく、映像、音声、サブピクチャを組み合わすことで新しい映像表現を可能とし、さらにインタラクティブ機能をもサポートする新しいシステムである。

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