半導体用語集

LSTD

英語表記:Laser Scattering Tomography Defect

 赤外光または可視光を用いた光散乱によるレーザ散乱トモグラフィ(Laser Scattering Tomography)で検出される結晶欠陥の総称。光散乱では酸素析出物あるいはBMDもLSTDとして観測されるが、as-grownのCZ-Si結晶や高温アニールウェハの表層を測定した場合にはgrown-in欠陥の一種である空洞(ボイド)欠陥のみが検出されるため、LSTDを空洞欠陥の意味で用いる場合が多い。
 CZ-Si中の空洞欠陥の実体はシリコンの{111}面で囲まれた0.1~0.3μmの八面体状の負結晶(negative crystal)であり、内壁に数nmの薄い酸化膜を伴うことが確認されている。シリコンの{100}面も有することがあり、形態的には高温で形成される多面体状酸素析出物とも共通点が多い。しかしSiO₂が充填された酸素析出物が大きな歪を発生するのに対し、空洞欠陥は中空であるため周囲のシリコンに歪をほとんど与えない。空洞欠陥は単独または複数個(2~3個)の連結として発生する。空洞欠陥の核形成については、酸素のストリエーションとLSTDの分布が対応することから格子間酸素や空孔-酸素複合体説などがあるが、詳しくはわかっていない。
 CZ-SiのLSTDが観測される領域には結晶成長時に過剰な空孔が存在して、冷却時に1,180~1,050℃程度の温度領域で空孔の析出が進行して空洞欠陥が形成されることがわかっている。空洞欠陥は通常の素子製造プロセスの窒素・酸素雰囲気中、あるいは比較的低温の熱処理では消滅することはなく、MOSデバイスのゲート酸化膜耐圧不良や素子分離不良の要因となる。
 CZ-Siを1,100~1,300℃の高温で還元性ガス(水素)や不活性ガス(アルゴン)雰囲気中でアニールすると、1,200℃では表面から~1μmまでLSTDは消滅する。LSTDの収縮の機構は、まず格子間酸素の外方拡散の進行とともに前述雰囲気の作用で空洞内壁の酸化膜が分解し、次いで空洞は空孔を放出して溶解しつつ界面エネルギーが最小の形状に変形・消滅していく。アニール後の残留欠陥の形態は、表面近くでは球形に近く、5μm以上では多少丸みを帯びた八面体となる。
 なお空洞欠陥は、grown-in欠陥が直接的に素子のゲート酸化膜特性に悪影響を与える現象として近年着目されているが、その全貌がわかる以前に様々な評価法で検出されたため、LSTD以外にも評価法に応じた種々の名称が与えられている。無撹拌のSeccoエッチングでできるさざ波模様(flow pattern)を伴うピットをFPD(Flow Pattern Defect)と呼ぶ。CZ-SiウェハをSC1洗浄(NH₄OH/H₂O₂)により数nmエッチングしてパ ーティクルカウンタで検出した表面の0.1~0.2μm程度のピットをCOP(Crystal Originated Particle またはPit)と呼ぶ。COPは本来八面体空洞が表面に現われたピットだが、内部にある空洞欠陥も含めて用いられることもある。なおLSTDも含めた多様な評価法で検出された低密度の欠陥が同一の空洞欠陥であると判明した背には、LSTD、COP、FPDの高精度の位置特定技術とリンクしたTEM、SEM、AFM解析技術の寄与が大きい。

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