半導体用語集
プローブカード
英語表記:probing card
プローブカードとして,カンチレバータイプ,垂直タイプ,メンブレンタイプがある。カンチレバータイプは,現在,プローブカードの大半を占め,さらに,エポキシタイプとブレードタイプがあり,プローブを水平方向に並べたものである。
エポキシタイプは,プローブをリングにエポキシ樹脂で固定し,リングをプリント基板に組み込むとともに,プローブの根元側を,プリント基板のパターンにはんだ付けしたものである。現在のプローブカードの中で,最も使われているタイプである。イニシャル費が基本的にかからないことや,これまでの豊富な実績による安心感が根強い。
プローブの材質としては,W(タングステン)が,寿命,価格の面から一般的であるが,最近,W-Re(タングステン-レニウム)を使う場合もある。他にもより低いコンクト抵抗が要求される場合,Pd(パラジウム)や,BeCu(べリリウム銅)が針材質として使われることもある。さらに,プローブ先端のコーティングや熱処理など,プローブカードの寿命に障害となるAIカスをつきにくくするためのエ夫がいろいろ検討されている。
ブレードタイプは微少電流用で,エポキシタイプにくらべ,ノイズに強いカードとして使用されることがあり,ブレードと呼ばれる板金の先にプローブを取りつけたタイプのカードである。ただし,ピン数が増えたり,ピッチが狭くなると製作が難しくなる。
垂直タイプは,カンチレバータイプに対し,プローブを垂直に立てるため,PADの配置の影響を受けにくく,比較的自由に製作できるメリットがある。したがってメモリの多マルチや,エリアアレイ(マトリックス)状に配置されたPADに使用される可能性が高い。価格面と修理の難しさが課題である。垂直タイプでも,従来のカンチレバータイプに使用されているWやPd合金を屈曲するタイプの他に,マイクロスプリングを利用して,PAD間の高さバラツキを吸収する方式も発表されている。
メンブレンタイプは,薄膜技術を利用してコンタクト部分を形成する方式。インピーダンスマッチングや配線パターンをあらかじめ考慮してプローブカードを設計し,バンプというプローブよりはるかに短い接触端子構造を用いるため,電気特性の要求が強い場合に適している。イニシャル費の点,個々のPADに対応する高さ吸収をどうするかが課題である。
プローブカードに要求されるニーズ傾向として,(1)多マルチ化,(2)高速化,(3)多ピン化がある。また,(3)の多ピン化の結果として,(4)狭ピッチ化,(5)エリアアレイ(これは通常,マトリックス配置のはんだタイプ)対応への要求がますます強くなっている。
多マルチ化に対しては,PAD配置との関係で,各カードによって可能なマルチ数が変わってくる。どんなPAD配置であっても,必要なマルチ数が取れるのがベストだが,通常いろいろな制限が生じることが多い。高速化は,メンブレン構造をべースにしたカードが一般的には有利。ただ,ピン数やPAD配置次第では,同軸カード(基本的にはカンチレバータイプに属する-同軸針を利用)などで,電子部品の搭載技術やプローブカード基板ヘの取り組みで,ある程度まで追い込むことは可能である。今後,用途別に新しい概念のカードが出現する可能性もある。
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