半導体用語集
ヘテロ接合
英語表記:hetero junction
不純物としてアクセプタとドナーを添加して形成したシリコンのpn接合などのように,連続する1種類の半導体において電気的性質の異なる2種類の半導体が接触する構造をホモ接合(homo junction)と呼ぶ。それに対して,異種の半導体が接触した構造をヘテロ接合と呼ぶ。たとえば,GaAsとGaAlAsのヘテロ接合を,GaAs/GaAlAsのように記述することが多い。
バンドギャップの大きさ,電子親和カ(真空準位と伝導帯の底のエネルギー差),バンドギャップ内のフェルミ準位のエネルギー位置(不純物の種類と密度および温度により変化する)は,一般に,様々な半導体において異なる。ヘテロ接合が形成されると,両者のフェルミ準位が一致するように半導体界面に電荷が誘起され,その静電ポテンシャルのために界面付近の伝導帯と価電子帯はバンドベンディングを受ける。真空準位も同様にべンディングを受ける。それと同時に,へテロ接合界面の伝導帯と価電子帯それぞれにおいて,両者のバンドギャップの大きさとバンドギャップ内のフェルミ準位のエネルギー位置で決まる,階段状のエネルギー差(電位障壁)を生じる。したがって,へテロ接合のpp,nn,および,pn接合の電流電圧特性は,バンドギャップの大きさ,電子親和力,フェルミ準位の位置により変化する。
低不純物濃度のGaAsとn型GaAlAsのヘテロ接合では,GaAlAsから供給された電子がヘテロ接合界面を通りGaAs伝導帯反転層に注入されて,へテロ接合界面付近に特に低温で高い電子移動度を示す二次元ガスを形成する。この高移動度を利用した電界効果型トランジスタは高移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)と呼ばれ,超高速スイッチング,雑音特性に優れるFETとして応用されている。
3種の半導体を重ねて,へテロ接合を二つ連続した構造をダブルヘテロ接合と呼ぶ。n型GaAlAs/p型GaAs/p型GaAlAsのように,バンドギャップの大きなn型とp型の半導体の間に,バンドギャップが小さなp型半導体を挟んだ構造のダブルへテロ接合では,n型GaAlAsからp型GaAsへ注入される電子はp型GaAlAsへ拡散しにくく,同時に,p型GaAlAsからp型GaAsへ注入される正孔は,n型GaAlAsへ拡散しにくい(キャリアの閉じ込め)。したがって,p型GaAsにおいて,電子-正孔対が効率的に生成され再結合発光が誘起される(活性層(active layer)の形成)。さらに,p型GaAsの両端に劈開による光の反射面を形成して,p型GaAsの屈折率の違いから光をp型GaAs中に集中させ(光の閉じ込め),レーザ発振が可能となり,レーザダイオード(LD:Laser Diode)として応用されている。
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