半導体用語集
熱処理装置
英語表記:thermal processing system
処理ウェハヘ酸化・拡散、または薄膜形成するために使用するソースガス分子の励起エネルギー源として熱エネルギーを用いるものを熱処理装置という。
加熱源としては主に、抵抗加熱ヒータによるものと、ランプヒータを用いたものの2種類に大別できる。これら加熱源を用いた装置形態としては、前者は主にバッチ式による酸化・拡散炉に用いられ、後者は枚葉式によるRTP(Rapid Thermal Processing)システムに用いられている。
半導体における熱処理工程では、バッチ式の酸化・拡散炉はその生産性と完成された制御性能で広く使用されているが、高速短時間処理が可能な特徴を持つ枚葉式ランプアニール装置なども微細加工技術の進歩とともに使用されるケースが増えてきている。
熱処理装置を用いた酸化・拡散プロセスは、主に加える熱量でソース分子の拡散速度を制御する必要がある。このため、種々の高度な温度制御技術を用いる必要がある。特にバッチ式酸化・拡散炉は一度に大量のウェハを処理するために、各ウェハ間で拡散ソースの反応が均ーに保たれる必要がある。加熱源としてのヒータには各ゾーン間で高い温度の均一性が求められる。これを均熱長というパラメータとして酸化・拡散炉の性能指標の一つとなっている。その精度は±1℃以下の精度が求められる。またウェハ面内の温度の分布も均ーである必要がありバッチ式、枚葉式ともに重要なクライテリアの一つである。
この他にも性能指標としては、反応室内を任意の温度に設定するための昇降温性能と、その際の温度制御技術がある。特に微細化加工が進む半導体製造工程においては、酸化・拡散工程でもトランジスタ形成時のゲート酸化膜などますます薄膜化が必要となってきている。
これを実現するための技術として、FTPS(Fast Thermal Processing System)と呼ばれる非常に高速で昇温可能なヒータを用いて、石英ボード挿入は比較的低温化で行いその後、高速でプロセス温度に昇温させて酸化処理する技術が採用されてきている。
また温度制御技術としては従来から熱伝対を用いて、PID制御と呼ばれるP(比例)、I(積分)、D(微分)の三つの基本演算を用いて目標値と現在値との差を制御量(電力量)に変換する方式や、外部熱伝対制御、レシオミックス制御、カスケード制御など種々の技術が用いられている。
この他に最近では、新しい制御方法としてMBTC(Model Based Temperature Control)と呼ばれる新技術も注目を浴びてきている。これは、あらかじめ装置ハードウェアの温度挙動をアルゴリズム化しておき、実際のプロセス時の熱伝対の挙動と、このアルゴリズムからウェハの実温度までを予測しヒータの印加電力を随時制御するもので、ヒータの性能を容易に限界まで出すことが可能となる画期的なものであり注目されている。
薄膜化への対応のための技術としてはこれら温度制御技術の他にも、処理ウェハを乗せた石英ボートを反応室に挿入するまでの過程で、その処理雰囲気の影響から意図しない自然酸化膜が発生することを抑制する必要があるが、このための有効な技術として、ウェハを石英ボートに移載する際の装置内雰囲気をN₂など不活性ガス雰囲気にするN₂ロードロックなども用いられている。
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