半導体用語集

CDMA

英語表記:Code Division Multiple Access

 CDMAは限られた周波数を有効に利用するための多元接続の一種で、符号分割多元接続と訳される。他の多元接続には、アナログ方式ではチャネルごとに使用する周波数帯域を区切るFDMA(Frequency Division Multi­ple Access)、デジタル方式では同一周波数においてチャネルごとに使用する時間を区切るTDMA(Time Division Multiple Access)がある。 CDMAは、スペクトル拡散(Spread Spectrum (SS))技術を利用した多元接続技術である。チャネルごとに送信データレートに対し十分に速いチップレートと呼ぶ個別の拡散符号を与え信号を広帯域に拡散し、同一周波数帯に同時に複数のチャネルを共存させる。原理的には拡散符号の数に相当するユーザーチャネル容量を確保できるため、結果として、他方式に比べ帯域幅当たりのユーザーチャネル容量が増える。また、同期の取れた同一の拡散符号からしか基の信号を復元できないことから秘匿性が高いシステムといわれている。このような特徴から次世代通信(IMT-2000)の有力な通信方式として世界中から注目されている。 CDMAは、IS-95方式に基づく伝送帯域幅が1.25MHzのcdmaOne™(シー・ディ・エム・エー・ワン)と呼ばれるシステムの商用サービスが1995年の香港を皮切りに、1996年には韓国・米国でも開始された。日本では、IS-95をベースに定められたARIB(Association of Radio Indus­tries and Businesses ; 電波産業会)STD-T53規格によるサービスが「切れない、音がいい」を謳い文句に、1998年に関西、九州、沖縄で始まり、1999年4月からは首都圏での運用も開始され全国展開された。
 半導体からみればCDMA方式も移動体通信の一方式であり、CDMAに特有の信号処埋を行う回路(デジタルベースバンド処理部)以外の部分は他の移動体通信端末と大きく異なるわけではない。信号処理部は、CDMA方式が従来方式と比較すると複雑な制御、処理を(同期処理、送信電力制御、RAKE受信など)必要とするため、100万ゲート規模の回路をコンパクトに集積するための微細化プロセスが必要となる。アナログ信号処理部は、直接無線電波の送受信を行うRF(Radio Frequency)回路部、アナログベースバンド部が扱えるレベルに信号ゲインや周波数を調整するIF (
Intermediate Frequency)回路部、実際に音声などの信号を取り出し処理するアナログベースバンド回路部、スピーカやマイクとの信号の受け渡しを行うコーデック回路部が主な構成となる。これらの信号処理系に、キー操作処理などのユーザーインタフェース回路、電源回路、メモリなどの要素部品が組み合わされ端末が構成される。それぞれの半導体チップは、扱う周波数や信号レベルに応じて、ガリウムヒ素、シリコンゲルマニウム、バイポーラ、Bi-CMOS、CMOSなどのプロセスが使い分けられる。プロセス世代はCMOSではデジタル回路が0.18µm、アナログ回路は0.25µmの世代へと移行している。プロセス技術、回路技術の進歩による半導体デバイスの小型、高集積化により60g台の超軽量セットが現実のものとなっている。

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