半導体用語集

密着性

英語表記:adhesion

レジストと基板の接着力を示す。レジストと基板の接着力を議論する場合、(1)空気中での接着力、(2)溶液中での接着力の二つを切リ分ける必要がある。空気中では、レジストは水素結合で基板と接着しており、基板表面に極性成分が大きいほど(たとえば、水酸基(-0H)が多いほど極性成分が多くなり、基板は親水性を呈する)接着力は強くなる。ところが、この水素結合は、酸やアルカリによって容易に切断されるため、現像液中もしくは工ッチング液中では水素結合は切断され、現像時のパターン剥がれやウェット工ッチングでの浸み込みが生じる。この現像時のパターン剥がれやウエットエッチングでの浸み込みは、水素結合が酸やアルカリに弱いことおよび水素結合が毛細管現象を強調していることに起因していると考えられており、その対策として、へキサメチルジシラザン (HMDS)などによる基板表面の疎水化処理が行われている。すなわち、親水性を呈する基板を疎水化する。疎水化理を行うことにより基板表面の極性エネルギーを低下させ、レジストと基板間の結合の比重を水素結合からファン・デル・ワールスカ(分散カ)に移すことにより毛細管現象を弱くすることで、現像液や工ッチング液の浸み込みが改善され、溶液中での接着力が向上すると考えられる。
しかしながら、ファン・デル・ワールスカは非常に弱い結合のため、ファン・デル・ワールスカの比重を大きくしてしまうと、現像液や工ッチング液の浸み込みは改善されるが、空気中での接着力は水素結合に比べ大幅に低下してしまうため、ジアゾナフトキノン感光剤レジストで生じる露光時のレジスト発泡による剥がれが生じ易くなる。以上のとおり、(1)空気中での接着力と(2)溶液中での接着力は相反する特性を示す。接着力の定量化手法としては、空気中の接着力の測定としては引っ張り荷重試験が、溶液中での接着力の測定方法としては現像後の残存バターンサイズやウエット工ッチ後のサイドエッチ量が用いられる。また、 接着力については、レジストの内部ストレスも影響を与えることがあり、極性エネルギーが同し基板であってもレジストの内部ストレスが大きいものの方がウエットエッチ時の浸み込みは多くなる。


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