半導体用語集

層間絶縁膜

英語表記:interlevel dielectric

 LSIの多層配線の配線層間を電気的に分離する絶縁膜。層間絶縁膜に要求される特性は、(1)誘電率が低く(低誘電率膜)、絶縁破壊電界が高く、リーク電流が低い、(2)配線材料との密着性に優れ、機械的強度が強い、(3)化学的・熱的に安定で、LSIに対する汚染物質を含まず、外部からの水分やアルカリイオンの侵入に対する阻止能力が高い(不活性化絶縁膜)、(4)下地に凹凸があっても表面を平坦に形成しやすい、などがある。層間絶縁膜用材料としては、二酸化シリコン系、窒化シリコン系、有機樹脂系とがあるが、単独の材料で上記のすべての要求を満たすことは困難であり、いくつかの材料が組み合わされて用いられている。
 二酸化シリコンにP(リン)をドープしたPSG(リンシリケートガラス)は、アルカリイオンのゲッタリング能力に優れ、二酸化シリコンにP(リン)とB(ホウ素)をドープしたBPSG(ホウ素リンシリケートガラス)はPSGよりも軟化点が低いので、リフローにより平坦化しやすい。さらに二酸化シリコンにF(フッ素)をドープしたSiOFは、誘電率を下げる目的で検討されている。二酸化シリコンの誘電率が3.8程度であるのに対して、SiOFでは誘電率を3.5程度まで下げられるが、耐水性を向上させることが最大の課題である。SiOFに水分が侵入するとHFが形成され、周辺の配線や層間絶縁膜が損傷を受けやすい。二酸化シリコン系材料は主としてCVD法により形成されるが、平坦性を上げるために塗布法や高密度プラズマ(high density Plasma)法も用いられている。
 窒化シリコンは水分やアルカリイオンの侵入に対する阻止能力が高い。形成温度をAlの軟化点以下に下げるために、プラズマCVD法が用いられているが、プラズマCVD法で窒化シリコンを形成すると、膜中に水素が多く取り込まれ、その水素によってデバイスの特性が不安定化しやすくなる。その対策として、窒化シリコン中に酸素を少量含ませて酸窒化膜化したり、プラズマを発生させる周波数に2種類の異なる周波数を用いたりしている。
 有機樹脂系材料を用いると誘電率3.0以下を実現でき(低誘電率膜)、ULSIの高速動作に有利であるので、層間絶縁膜に応用する研究が最近盛んに行われている。有機樹脂系材料としては、ポリイミド、有機シロキ酸ポリマー(有機シリコン酸化膜)などがあり、塗布法による成膜後、べーキング(乾燥)、キュア(硬化)工程を経ることによって形成される。有機樹脂系材料に対しては、耐熱性、耐酸化性と密着性の向上が最大の課題となっている。


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KMP研究所、岩津 春生

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