半導体用語集
窒素
英語表記:nitrogen
希釈酸化としての窒素雰囲え気でCZ結晶を熱処理すると、BMDの析出を抑制する格子間シリコンが発生しないので、IGとしてのBMDの析出は促進される。V属である窒素は、リンと同様にドナー化が期待されるが、通常ドナー化されない。Nが転位にゲッタすると転位を強く不動化し、結晶強化の働きが酸素よりも強い。そこで酸素フリーのFZ結晶の転位発生防止効果を狙い、N2ドープの試みがなされたが、Nの拡散係数は大きく、高温長時間のデバイスの熱工程で、Nが外方拡散することによって強度を維持することができず、Nドーブは結晶強化の目的では実用化されていない。FZ結晶で空孔起因のD欠陥や、格子間シリコンクラスタのA欠陥は、N2ドープすることにより消滅する。このような特性は結晶中のNが結晶欠陥との相互作用が強いことを表している。CZ結晶にNをドープすることにより、BMDの析出密度が増加する。また、Nとの相互作用により空孔の拡散が遅くなり空孔起因のCOP析出成長温度が低下することにより、COPの密度が高くなるがサイズは小さくなる。このCOPは、高温アニールで容易に完全に消滅し、DZ層が形成される。適切のNドーブ量のCZ結晶は、高品質なDZ-IGウェハの基板結晶である。この時、次の点に十分留意する必要がある。Nの結晶への固溶限が4.5×1015atoms/ cm3と低いこと、平衡偏析係数が7×10-4と小さく、CZ結晶の頭部と尾部とでN濃度が1桁違うことである。
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