半導体用語集

プラズマCVD

英語表記:PECVD : Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition

反応ガスを低温プラズマ状態にし、化学的に活性なイオンやラジカルに分解させることで薄膜を低温形成するCVD法。熱CVD法では、反応が熱平衡状態で進むが、プラズマCVDでは電子温度が気体温度より高い低温プラズマ中では熱的には非平衡状態で反応が進むため、低温化が可能となる。通常、プラズマの発生には高周波を印加するが、マイクロ波を用いる方法もある。高周波を用いるCVD装置は、容量結合型と誘導結合型に大別できる。このうち、層間酸化膜形成用には、容量結合型CVD装置が多く用いられている。 一般に、プラズマCVD といった場合は、高周波を用いた平行平板電極を有する容量結合型のCVD方式を意味する場合が多い。高周波としては13.56 MHzが、マイクロ波としては2.45GHzが主に用いられている。また、通常の容量結合型プラズマ CVDより、高いプラズマ密度と基板バイアスを持つことを特徴とする高密度プラズマCVD (HDP: High Den-sity Plasma)と呼ばれるプラズマ CVD方式もある。この場合、反応ガス中にArを含ませることで、プラズマCVDによる成膜とArスパッタエッチングが同時進行することにより、 埋め込み性および段差被覆性が大きく向上する。また、用途は限定されているが、プラズマ源を基板から遠ざけるリモートプラズマCVDと呼ばれる方式も用いられている。マイクロ波でプラズマを発生させ、えられるプラズマ中の活性物質を基板近傍へ輸送することで基板上に薄膜を形成する方法である。基板へのプラズマダメージを避けたい場合に用いられる。
プラズマCVDによるシリコン酸化膜の形成は熱CVDにくらべ低温化が可能であり、配線に対する熱的な負荷が少なくてすむ。同時に、段差被覆性に優れ、形成されたシリコン酸化膜が圧縮応力を示すことから機械的強度も高く、金属配線上でクラックを起こしにくいといった利点も持つ。このため、 Texas Instruments社によるSiH4-N20系を用いたプラズマCVD-SiOx膜の発表(1971年)以来、メタル配線用層間酸化膜として、広く用いられている。 低温成膜が可能ではあるが、膜質の関係から、実際の成膜温度は350℃から400℃程度である。これ以下の低温成膜では、吸湿性の増大などの膜質的問題が発生する。現在では、反応ガスとしてSiH4ーN20系に換え有機SiソースであるTEOSと02 を用いる方法が広く用いられている。SiH4-N20系では、サブミクロンの配線間に形成した場合、オーバハング形状を示すが、TEOS-02系ではより良好なコンフォーマル形状を示す。
TEOS-02系プラズマCVD酸化膜の段差被覆性を写真1に示す。しかし、TEOS-02系で成膜された酸化膜はSi -OH基を多く含み吸湿性を示しやすく、膜質的には良好ではない。膜質を改善するため、TEOS-02系を用いたプラズマCVDでは、二周波プラズマCVDと呼ばれる二つの異なる周波数の高周波を用いる方法が一般的である。通常、13.56MHzの高周波を用いるが、これに加え数100kHzと低い周波数の高周波も同時に電極に印加する方法である。数100kHzの、より低周波の成分を加えることで、吸湿性の低減、応力の制御、またわずかではあるが段差被覆性の向上が可能となる。



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