半導体用語集

層間絶縁膜

英語表記:ILD : Inter - Level Dielectric、 IMD : Inter-Metal Dielectric

配線層間の絶縁性をえるために用いられる層間絶縁膜には、シリコン酸化が主に用いられている。この用途に用いられるシリコン酸化膜を、層間酸化膜とも呼ぶ。配線に用いられるAl 合金やCuは、耐熱性が低く、メタライゼーションのプロセス温度は一般的に450℃以下である。このため、シリコン酸化膜の形成にも450℃以下での低温形成が必要となる。具体的には、プラズマCVD (PECVD: Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition) 法や塗布法 (SOD: spin On Deposition) 法などの形成法が用いられている。層間酸化膜は、絶縁性の確保のみでく上層配線のリソグラフイやエッチングを容易にするための、デバイス表面平滑・平坦化層の役割も持つ。CVD酸化膜の段差被覆のみでは、配線上で十分な層間酸化膜の平滑・平坦性をえることができない。このため、 層間酸化膜形成後に表面を平坦化するための付加的な平坦化プロセスが一般に実施される。平坦化プロセスとしては、CMP法、エッチバック法および層間酸化膜をCVD酸化膜と塗布法による形成された塗布シリコン酸化膜 (SOG : Spin On Glass)との積層にする方法が用いられている。このため、層間酸化膜には、平坦化プロセスを容易にするための良好な段差被覆性や微細配線間をボイドなく埋め込むための良好な埋め込み性が要求される。 層間酸化膜には、さらに様々の特性が要求される。 金属配線との積層でクラックを発生させない十分な機械的強度や低い吸湿性が例としてあげられる。 特に、層間酸化膜の吸湿性はLSIの信頼性に大きな影響を及ぼす。 層間酸化膜中の水分は、 プロセス中にゲート酸化膜まで到達し そのホットキャリア耐性を弱める。 また、信頼性試験において、金属配線やビアホール埋め込み用金属プラグの信頼性を劣化させる。
現在の金属配線形成はドライエッチングによる加工が主であるが、 ダマシン法による埋め込みCu配線の場合に は、層間絶縁膜に要求される特性が異なってくる。ダマシン法では、平坦な層間絶禄膜表面に形成された配線溝にCuを埋め込む配線形成法であるため、配線段差が存在しない。このため、層間絶縁膜形成における段差被覆性や埋め込み性の重要度は低下する。 代わりに、Cuの拡散に対するバリア性が新たに求められることになる。このように、用いる配線材料やその形成法に合わせ、層間酸化膜の形成法の選択および特性制御が必要となる。


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