半導体用語集

熱処理

英語表記:anneal

電気炉、レーザ、ランプなどによって半導体基板に高い温度を加えるプロセスの総称である。シリコンにおけるLSI形成プロセスでは、酸化、拡散のために熱処理を行う。そのうちイオン注入に関連した熱処理には、3種類の目的がある。一つは、半導体基板に注入したイオンを結晶の格子点に置き換え電気的に活性化させるため、もう一つは、イオン注入で結晶の中に形成された格子欠を氏減するため、さらにもうーつは、熱拡散を行うことである。電気炉で温度を加ミる方法は、炉心管 (通常石英、 高温の場 合はSiC製) にヒータと熱電対の温計を置して、熱電対で測定された温渡のフィードバックにより温度の制御を行う。多くの場合は、 緩やかに温度 (約20°C/分程度以下) を上げて比較的長い時間 (分単位以上) を加える。パラメータとして温度、時間、昇温レート、降温レート、ガス(N2、Ar、02、日2など)雰囲気がある。これとは別にランプの輻射熱により熱理を行うラビッドサーマルアニール(RTA: Rapid Thermal Annealing)がある。これは、不純物の拡散による広がりを抑制して浅い接合を作るため短時間の熱処理を行うことや金属とシリコンを反応させるサリサイド化を目的としている。この方法の一つとして、スパイクアニールがある。これは、昇温、 降温だけで最大到達温度での時間が、0秒として拡散を最小限に抑えるために用いられる。酸素雰囲気、アンモニア雰囲気の中でRTAを行い、極薄膜の酸化、窒化を行う、RTO(Raped Thermal Oxidation) 、RTN (Raped Thermal Nitridation)法がある。その他にパルスレーサを用いたピコ秒オーダの短時間の熱処理がある。この方法により半導体表面を選択的に溶融することも可能である。通常のシリコンプロセスにおける電気炉の熱処理では、1,100℃以下が主に用いられる。かつてはウェルを形成する工程では、1,200℃程度の熱処理が行われたが、大口径200 mm時代になってからはウェハの熱歪による変形の問題から約1,100℃が使用される上限になった。そのためドライブインウェルから、400keVから1MeVの高いエネルギーイオン注入でウェルを作る方法が採用されるようになった。



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